宇宙混沌
Eyecatch

第9話:夏だ! 主命だ!! 水浴びだ!!! [5/7]

「こりゃ驚いたぜ」
 審神者が江雪を池から引き上げ、風呂場へと連れて行く途中で着替えた鶴丸とすれ違った。経緯を説明すると、鶴丸は笑い転げる。
「笑い事じゃない」
 淵の近くは比較的浅いので、江雪は池の底のコンクリに頭をぶつけたらしい。ライフセーバーを解任し、シャワーを浴びせて休ませに行く所である。
「そんなに心配なさらずとも、大した事はありません」
「いや、頭は怖いんだよ。後から突然倒れて死ぬ事もあるから、暫く様子を見とかないと」
「またそうやって……」
 まあ浴場まで付いて行ってあわよくば脱いでいる所を見ようという下心が審神者に無いと言えば嘘である。
「何なら、俺が江雪を見とくか?」
「国永が?」
「あの人数の監督、いちと長谷部だけじゃ心配だろう? 主はあっちを見てた方が良いんじゃないか?」
「そうですね。そもそも主が水浴びをしたかったのでしょう?」
「いやでも、狼狽えたら立ち上がる癖ある事知ってて仕掛けたの私だし……」
「ほーう?」
 鶴丸はニヤニヤとした顔で審神者を見る。らしくないが、自分の発言が急に恥ずかしくなってきたので、審神者は大人しく鶴丸に任せる事にした。
「さて、じゃあ俺達は風呂に入るか!」
「申し訳ありません。貴方も折角着替えたのに」
「構わねえよ。どうせ夏はまだまだ続くからな。その内またやるだろう」
 二人は浴場へ。別に身体を温めるのが目的ではないので温めの湯でさっと身体を流すと、今度は厨へ。冷凍庫に常備してある氷嚢を江雪の頭に当てる。
「部屋には宗三が居ますので、鶴丸殿はこれで……」
「いや、俺はお前と話がしたい」
「?」
 江雪がきょとんとすると、鶴丸は悪戯っ子のような笑みを浮かべた。

闇背負ってるイケメンに目が無い。