宇宙混沌
Eyecatch

第7章:愛されキャラ [2/6]

愛されキャラ

「一期君? どうかした……?」
 一期の声に気付き、近くの部屋から光忠が顔を出した。
「新入りかな?」
 一期は鶴丸を支えながら、応える。
「鶴丸国永です。旧知の仲でして。熱中症らしいので、何処か寝かせられる場所までお手伝いいただけませんか」
「僕の部屋、丁度エアコン効いてるよ」
 光忠は障子を広く開けて二人が入れるようにした。畳を剥がして洋風に仕立てた光忠の部屋では、大倶利伽羅がカーペットに寝転がってタブレットでファッションサイトを見ている。大倶利伽羅の部屋は隣だが、どうせ二人共暇な時はファッション誌を読んだり通販サイトをサーフするだけなので、同じ部屋に居た方が省エネだ。
「鶴丸……?」
 顔を上げた大倶利伽羅が驚く。鶴丸も大倶利伽羅に気付いて弱々しく笑った。
「よっ。お前も来てたのか」
「伽羅ちゃん知り合い?」
 自分のベッドに鶴丸を寝かせながら尋ねる。一期は水を取りに行った。
「お前が他所へ行ってから伊達家に来た刀だ」
 大倶利伽羅は立ち上がり、まじまじとその姿を見る。真っ白な服、髪、そして肌。
「悪趣味な格好だな。血が映える」
「こりゃ驚いた。まだ説明してないのに、当てるとはねえ」
 フン、と鼻を鳴らすと大倶利伽羅は座ってタブレットに視線を戻す。
「鶴丸殿、これをお飲みください」
 一期が大急ぎで氷水の入ったポットとグラスを持って帰ってきた。
「飲む……」
「口に入れて、息を止めて、喉の方に」
 初めての人間の身体、人間が当たり前に行っている所作でも刀剣達には全く解らない事も多い。
「ごめんごめん一期、奴にこれ渡すの忘れてた」
 外で審神者が一期を探している声が聞こえた。障子を開くと、丁度前を通りかかったところの審神者が足を止める。鶴丸は先程見た、落ち込んだ雰囲気を彼女が全く纏っていない事に驚いた。
(なかなかやるなあ)
 自分を上手く偽るというのは、難しい事だ。特に、偽りながら自分だけでなく多数の他者をコントロールする事は。
「人間の身体の取説」
 審神者が薄い冊子を見せる。一応、政府は親切にマニュアルを用意しているのだが、今回は鶴丸が最初から比較的上手く身体を操っていたので失念していた。
「あとこれ、政府から支給された内番服[きがえ]
「遅い遅い」
 冊子を受け取って鶴丸は頁を捲る。
「字は読めるのか」
「おいおい、馬鹿にしてもらっちゃ困るなあ」
「いや、たまに読めない子も居るんだよ。それに、」
 此処で審神者は大倶利伽羅を見て、何かを思い出した様にクスクスと笑いだした。嫌な予感がする。
「主……」
「呼吸を異常行動だと勘違いして意識的に止めちゃって、再開の仕方を忘れちゃう様な奴も居たからさ」
「…………」
「私が人工呼吸で助けようとしたら清光が嫉妬して結局清光にされてたし」
 大倶利伽羅がタブレットで顔を隠す。審神者が折角名前は出さないでくれたのに、その所為で誰の事だかバレバレだ。逃げたいが今更遅い。

 一方その頃畑に水撒いてた清光もくしゃみしてたりして。
「何か寒気する……」
 唇の辺りが特にぞわぞわしたのは気の所為か?
「あ、加州、虹出来てるよ虹!」
「安定はもうちょっと俺の事心配してくれても良いと思う」

Written by