宇宙混沌
Eyecatch

第2章:愛され系審神者は給料分は仕事をする [2/5]

 審神者は執務室で頭を抱えていた。
(どうやっても戦力不足だな……)
 実は、前にこの本丸を管理していた審神者は、戦術や戦略を立てる事に長けており、全戦全勝の記録を打ち立ててきた、政府も一目置く審神者だった。しかし、その戦績を詳しく分析してみると、判った事が幾つかある。
 まず、そもそもの出陣回数が少ない。
 そして、出陣する先もそれ程難しいと言われている時代ではない。夜戦となる幕末には一度も出陣していない。
(まあ実際、粟田口短刀の戦績はパッとしねえ……)
 なるほどホワイト本丸である事は判ったのだが、これでは困る。この審神者は、金を必要としているのだ。
(あいつと同じ方式で戦績上げて給料の上乗せを目指すか……いやでもあいつは戦いの知識あったし、審神者業以外の報奨金が相当あったらしいしな……)
 ここは、とりあえずもっと戦力を増強すべきだろう。この本丸には大太刀が一振居るだけで、槍も薙刀も居ない事だし。
「今度また大阪城の一斉討伐が行われるらしいしな……」
「大阪城が、何だ?」
 審神者は突然した声に飛び上がった。考え事に集中していた所為で、部屋の前に迫る気配に気付かなかったのだ。
(大倶利伽羅か)
「今度また一斉討伐があるらしい」
 日本の歴史が大きく動く舞台となった場所は、関西に偏っている。大阪城は歴史改変が重点的に行われた場所の一つで、今ではよくわからない何かになっていた。前回の一斉討伐は、丁度前の審神者が此処を去り、現審神者が着任するまでの間だったので、参加していないらしい。
「大阪……」
 懐かしい地名に、大倶利伽羅は一瞬自分が此処に来た目的を忘れかけていた。
「それより、ずんだ餅食べるか?」
 審神者は意外な質問に、すぐには返答出来なかった。色々と考えをメモ書きしていた手を止め、障子に貼られた札を取る。
「差し入れ?」
 大倶利伽羅は皿を差し出す。
「籠りきりで大変だろう」
「サンキュ」
 審神者が受け取ると、大倶利伽羅は縁側を静かに自室へと戻って行く。審神者は障子を閉めて札を元の位置に貼り、餅を机に置いた。
(なんだあいつ無愛想に見えてめっちゃ良い奴やん……)
 と、思ったが、直ぐに首を振る。
(いやいやいや、ああやって心を開かせて誘い込むタイプかも。気を付けよ)
 とはいえ、折角貰った物を捨ててしまうのは勿体無いし失礼だ。腰を下ろして一つつまむ。
(あ、美味い)

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