宇宙混沌
Eyecatch

第8章:愛され系審神者は怖れ、怖れられている [2/5]

 獅子王は鵺を抱えたまま小走りである部屋の前まで来た。柱に下げられた表札を確認して、襖を開ける。
「おっつー」
 そう声をかけたのはこの部屋の借り主、加州清光。政府が鍛刀して前の主に充てがわれた初期刀。
「何だよ、内密の会議って」
 鵺を肩に背負い、空いていた座布団に腰を下ろす。部屋には既に、他の四振の部隊長、小夜・光忠・山姥切国広・一期一振も集まっていた。
 黙り込む清光の代わりに、発案者の光忠が、小夜と目を合わせてから口を開いた。
「主の事なんだけど」
「主?」
「政府の方から圧力をかけてもらって、辞めてもらおうかと思うんだ」
「……はぁ?」
 獅子王の反応に、既にこの会合の目的を聞かされていたらしい清光も頷く。
「だよねぇー」
「っ、詳しい理由をお聞かせ願います」
 フランクな口調で反応した二人とは対照的に、一期はいつもの丁寧な調子で尋ねた。しかし、握った拳は膝の上で震えている。
「審神者は『神力』を持ってます。明らかにあの人間の肉体では手に負えてません」
 剥かれた柿にフォークを突き刺しながら、小夜が静かに答えた。続いて山姥切国広が口を開く。
「俺は奴に神力で刀の曇りを取ってもらってから、調子がおかしい。刀は俺自身なのに、まるで俺ではないみたいだ」
「でも国広の戦績、右肩上がりだよ?」
 清光が肩を竦めたが、山姥切は頭上の布を押さえて切り捨てる。
「戦績なんてどうでも良い。俺が気味が悪いと言っているんだ」
 とりあえず、光忠を筆頭に、小夜と山姥切は審神者を警戒して現世にお帰り願いたいらしい。
「光忠は俺が『霊力肩代わり目当てなら抱いてくれるかも』って言った時乗り気だったじゃん」
「『神力』とは聞いてなかったよ。話が別さ」
 イマイチ事の深刻さが解っていない獅子王はキョロキョロと皆の顔を見合わせてから、小夜に尋ねる。
「神力ってそんなにヤバイの?」
「本物の神様だから……。理屈も何も通用しない力を、本人が持て余しているんです」
(そしてその力は、神無月の間は……)
「……という事でこの嘆願書を政府に提出してもらいたい」
 光忠は清光に書類を差し出す。
「君が提出してくれないなら、僕達からヘルプデスクにメールするよ」
と付け加えた。

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