宇宙混沌
Eyecatch

第8章:愛され系審神者は怖れ、怖れられている [1/5]

「うぉらあー!!」
「キャー!」
 庭が騒々しい。審神者が鵺と共にそっと外を覗くと、すっかり元気になった日本号が鋤の先に粟田口の短刀を掴まらせ、ぶんぶんと振り回していた。
「次はどいつだぁ?」
「僕!」
 着地した乱がスカートをヒラヒラさせてはしゃぎながら離れ、次は秋田が宙に舞う。その様子を撮影しているのは……。
「うぉーう、鳴狐! 鳴狐もやってもらいなさい。楽しいですぞ!」
 いつもなら一期が愛用のビデオカメラで録っている。しかし今日はそのカメラで鳴狐が撮影していた。
「無理じゃないかな」
 秋田の首に巻き付いて一緒に宙を舞っている、お供の狐に冷静に返しながら。
「鵺の相手サンキュ」
 軽やかな足音と共に降ってきた言葉で審神者は顔を上げる。畑の世話が終わったので、獅子王が鵺を引き取りに来たのだ。
「どうかしたのか?」
「いや……」
 言葉を濁す審神者に、獅子王は優しく声をかけた。
「今日霊力弱ってるみたいだし、無理すんなよ」
 神力と霊力の区別が付かない者には、今の状態は寧ろ具合が悪く映るらしい。
(……っあああ獅子王! お前良い子かよ!!)
 少女の様に華奢な容姿の彼に心の中で一通り萌えてから、審神者はいつものキメ顔で「サンキュ」と返して彼を見送った。
 実際、審神者の「霊力」は大した事は無く、他の審神者と比べてもまあまあ平均程度だ。本丸を回していくには足りるが、いざという時に逃げたり立ち向かったりするには無理がある。
(一期……変な気を起こさなければ良いが……)
 いざという時、例えば神隠しされたとすると、今の彼に神域から抜け出す力は無かった。審神者はもう一度身震いすると、今剣を味方に付けようか、付けられるだろうかと考えながら、結局自室に引き篭もるのだった。

♥すると著者のモチベがちょっと上がります&ランキングなどに反映されます。
※リストへの反映には時間がかかります。

Written by