宇宙混沌
Eyecatch

第4章:愛され系審神者には守るべきものがある [5/5]

 翌週、一期や他の刀剣を警戒してまたもや引き篭っていた審神者は、訓練場開放最終日という事で朝餉の席に姿を現した。
「えー、ご存知の通り初日に博多を貰ってきたっきり、うちの戦績はぱっとしません」
 博多が貰えただけ十分じゃないか……と皆は思っていたが、審神者は違う。金が要るのだ、金が。霊力は有り余っているし、刀剣はまだあと何十振でも束ねられる。鍛刀はあれきり失敗続きだし(既に居る刀剣は喚んではいけない決まりなので選択肢が少ないのだ)、ここは何としてでももうちょっと貰ってきたい。
「という事で今日は手が空き次第全員訓練場へレッツゴー!」
 明日から遠征だぞ休ませろ! という和泉守の声が聴こえた様な気がするが、審神者が考慮する筈なんてなかった。

 昼過ぎ、審神者はドタバタと縁側を走ってくる足音に呼び出された。
「主! 手入れ頼む」
 同田貫が障子を叩いた。審神者が開けると、ぐったりした黒いつなぎの男を肩に担いだ長谷部が手入れ部屋に向かっていた。貰ってきた刀剣か。その後ろに、同田貫を含めた六人がぞろぞろと続く。宗三は何やら掃除用のはたきみたいな物を持っていた。
「何だそりゃ」
「この方の槍ですよ。あと、山姥切も中傷です」
「俺は後で良い」
「良いから貸せ」
 山姥切の腰から刀を抜き取る。審神者が手を翳すと、曇っていた山姥切国広の刀身がピカピカと輝きを取り戻した。
「ほい。身体の怪我は液に漬けとけ」
「これはこれは。随分面妖な技を使う」
 急いで長谷部の後を追おうとした審神者に、聞き慣れない声が言った。
「ん?」
 ここで審神者も漸く気付く。六人部隊の筈だ。長谷部を抜いて六人というのは、一人多い。
「誰だお前」
「古備前の鶯丸」
「もうひとりもらってきましたよ! しかもむきずだしつよいです! ほめてください!」
「はいはい」
 審神者は乱暴に今剣の頭を撫でる。「いわとおしはもらえませんでした」とちょっと悲しそうにするので、更に撫でる。
「急いで下さいよ主。槍のお方は重傷です」
「解った。いまつる、お前無傷ならそいつの相手を頼む」
「りょうかいです」
 審神者が去ってから、今剣と鶯丸は顔を見合わせた。
「わかりました? いまの」
 今剣が審神者の通って行った先を指差す。鶯丸は顎に指を当てて興味深げな顔をした。
「資材も無しに刀剣の手入れか……。まあ、悪い事が起こっていないなら良いじゃないか。ところで、この本丸に大包平は来ているか?」

♥すると著者のモチベがちょっと上がります&ランキングなどに反映されます。
※リストへの反映には時間がかかります。

Written by