宇宙混沌
Eyecatch

第4章:愛され系審神者には守るべきものがある


「じゃあ、後は頼む」
「りょーかい」
 木曜日の早朝、審神者は清光に見送られて現世ヘ。戻ってくるのは夜になるそうだ。審神者不在の間は、清光が審神者代理を務める。
(ま、出陣も遠征も無いし、何も無いでしょ)
 という考えは甘かったのだと、清光はこの日の終わりに知る事になる。

「此処の主は良い人やけん、俺は幸せ者ばい」
 すっかり快復した博多は、一期の膝の上に抱かれて名札を弄んでいた。しげしげと眺めたり、服から外してくるくると回してみたり。
「博多は初日のアレを見てないからそう言えるんだよ」
 水を差したのは鯰尾だった。衝立の向こうで、骨喰が鯰尾を窘める声が聴こえる。
「何かあったと?」
「主殿は、警戒心が少々お強いだけです」
 姿の見えない場所で一期がそう言うのが聴こえる。骨喰と寝起きしているスペースに寝転がっていた鯰尾は、骨喰の腕を掴んで外に連れ出す。
「兄弟は新しい主が嫌いか?」
「骨喰は好きなの?」
「嫌いじゃない」
 意外な答えに鯰尾は目を丸くした。人があまり来ない、転送装置の真ん前の縁側に腰を下ろす。
「俺は好きじゃない……他人の心の中を覗くなんて最低」
「別にそれで実害があった訳じゃないだろう? 主の言う事にも一理ある」
「そうだけど……」
 鯰尾は兄弟の同じ色の瞳を見る。無表情の中に見える優しさは、彼にもまた、鯰尾の心の声など筒抜けである事を示していた。
「……骨喰には敵わないなあ……」

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