宇宙混沌
Eyecatch

第5章:一期一振は心配事が多い [4/4]

「青江帰ってきたー?」
 食事の間に、厨から当番の安定が顔を出した。安定、青江、長谷部、小夜、そして厚の班は分業ではなく、五人皆で一つの仕事をこなし、作業時間を短縮するという方針を取っているらしい。その分、全員が一日の間に料理・畑と馬の世話の全部をこなさなければならないが、特段仲が悪い面子が居る訳でもなく仲良くやっている。
「主に食事持ってったじゃん」
「にしても遅くない?」
「どうせその辺うろついてんじゃないの?」
 清光は気にしていなさそうだったが、一期の表情に心配の色が滲むのを、鯰尾は見逃さなかった。
(いち兄も……皆も……)
 無意識に箸を握る指に力が入る。
(どうして……前の主の事……)
「兄弟」
 隣から優しい声がかかる。骨喰が苦笑していた。
「……また聴こえてた?」
「ああ。訓練が足りんな」
 鯰尾は顔を赤らめる。
「安心しろ。口外はしない」
「ありがとう」
 一刻も早く、心の声を封じられる様にならなきゃ。
 一期も、鯰尾の気持ちを知らない訳ではなかった。骨喰の様に心を読む事は出来ないが、弟達の思う事等、彼にお見通しでない訳がない。
「…………」
 一期は鯰尾に声をかけようとして、出来なかった。
 自分もいずれは彼と同じ様に悩み苦しむ事になるだろうから。

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