宇宙混沌
Eyecatch

第5章:一期一振は心配事が多い [2/4]

「お帰り」
 夕餉前。審神者が現世から戻って来ると、転送装置の目の前の部屋に陣取った鶯丸が審神者を出迎えた。縁側に座り、彼の到着を待っていたようだ。
「おう」
 審神者は素っ気無く、自室に戻ろうとする。
「待ってくれ。少しは話くらい、してくれても良いじゃないか」
 審神者は足を止めて振り向く。
「凄い霊力だな。審神者になる前から、色々な所から声をかけられていたんじゃないか?」
「世辞も御託も要らねーよ。さっさと用件」
 まどろっこしい前置きは好きじゃない。審神者にそう言われ、鶯丸は単刀直入に斬り込んだ。
「君は神隠しに遭う度に自力で神域を破ってきたと噂に聞いた。本当か?」
 鋭い視線が審神者を射抜く。怯むものかと審神者は虚勢を張った。
「本当だけど?」
「それに、資材も[まじな]いも無しに付喪神の拠り所を修復した」
「……うん」
 審神者は鶯丸の言いたい事が解らず、首を傾げた。鶯丸はそれに気付き、肩をすくめる。
「ああ、自覚が無かったのか。君のその力……」
 鶯丸は一度言葉を切り、唇を湿らせる。
「その力……本当に『霊力』か?」
「……それ以外に何があるってんだよ」
 審神者は一瞬ハッとした様な顔を見せたが、すぐに押し隠して踵を返した。残された鶯丸は、審神者に聴こえない大きさで呟く。
「例えば、『神力』とか」

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