「まさかこのまま締め出すつもりじゃないだろうね?」
歌仙兼定は時空を越える装置を停止する小夜に問いかけた。
「…之定のも、まだ信じてるの?」
自分達に、長い時間が残されているという事を。
歌仙は眉を顰めた。
「君は…何を知っているんだい?」
人が数人入れる程の、箱の様な装置からノイズ音が消えていく。完全に止まってから、小夜は一呼吸置いて答えた。
「僕達は、決断しなきゃいけないって事をさ」
結局小夜に言い含められてしまった。堀川が和泉守と山姥切とで庭に生えている雑草の間をくまなく探していると、少し離れた所で同じ様に地面に目を凝らしていた蜂須賀虎徹が動いた。
「そこ!」
蜂須賀が地面に刀身を突き立てる。一瞬、邪気の様なものがそこから広がったような気がした。
「仕留めたのか?」
「ああ。僕は贋作じゃないからね…っと」
和泉守の問に癖でそう答えてから、国広兄弟の存在に気付いて気まずそうに口を噤む。
「とにかく、良かった。主さんや皆に伝えに行こう」
堀川が言って、四人は近くに居た他の者に声を掛けながら主の部屋へ。
今剣と鯰尾、そして山伏以外の三十名程の刀剣達が、主の部屋の前に集結した。
「今後の事を話し合おう、主。此処じゃ狭いから、食事の間に…」
清光が言って彼女の顔を見る。その顔は、驚く程青くなっていた。
「主?」
同じく気付いた安定が駆け寄る。その腕の中に倒れ込んだ。近くに居た短刀達が小さく悲鳴を上げる。
「主!?」