宇宙混沌
Eyecatch

第4章:あなたはわたしの、わたしはあなたの [3/5]

「あ~~変な人に目を付けられてしまったんだぞ~~~。最初から『ちょっとおかしな人だな』とは思ってたけど~~~~」
「何変な踊り踊ってんの?」
 屍屋で一人、頭を抱え大きな尻尾を振り回しながらぐるぐると回る竹千代に、帰ってきたもろはは呆れた声を出す。
「もろは! 良いか、理玖様[あのおかた]には絶対に会うんじゃないぞ!」
「あのお方って、うちの一番の上客のこと?」
「そうだぞ」
「って言われても、アタシそいつの顔知らないし。留守番中に来られたら、相手しないわけにもいかねえだろ」
「相手しなくて良いんだぞ! 奥の部屋に隠れて息殺してろ!」
「はあ……。だからどんな奴なんだよ」
「霞色の袖無し羽織を着てるんだぞ」
「それだけじゃわかんないよ」
「とにかく美人!」
「女?」
「男!」
 なんで竹千代に命令されないといけないのか、と思いつつも、竹千代は理不尽な要求を突きつける奴じゃない。何か理由があるのだろうと了承した。
「というか、お前が一人で留守番しないといけない時に、俺が代わってやれば良いんだぞ。よし、そうしよう」
「竹千代って面倒見良いよな」
 もろはは体を床に投げ出す。竹千代は歩き回るのをやめて、もろはの顔を見下ろした。
「そうか?」
「めちゃくちゃ良い。前にも子供の面倒見てた事あるのか?」
「…………」
「答えたくないなら良いよ」
「もろは、前に俺の夢について訊いたんだぞ」
「え? ああ、また随分前の話だな」
 もろはは起き上がって、竹千代の方を見る。
「その時の夢は禍根になるものであった」
「みたいだな」
「今は違うんだぞ。叶え方は、わからないけど……」
「どうしても困ったら、そんときゃアタシが手伝ってやるよ。金は取るけどな」
 もろはが微笑むと、竹千代もその表情を和らげた。
「ところでさあ」
 話題を切り上げ、もろはが甘えた声を出した。竹千代の耳元で囁く。
「前にやってもらってから日が空いたから、今日こそは♥」
(まったく、本当に強請るのが上手いんだぞ)
 竹千代はやれやれと肩をすくめる。が、内心悪い気はしていない。
「仕方ないんだぞ。大人しくしてろよ」

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