宇宙混沌
Eyecatch

ウェディングドレス [3/4]

「痛っ……」
「悪い」
 竹千代は指を入れるのにも苦戦していた。当然だ、もろはは自分でする時も、中にまで入れたことはない。
 濡れてはいる。竹千代は慎重に弄って、やっと入り口を見つけた。ゆっくりと奥に進めると、もろはが腰を浮かす。
 その様が竹千代の理性を少しずつ奪っていく。途中であっても「嫌だ」と言われたら止めなきゃいけないのに、もう止められる自信が無い。本番前にゴムを付けることだけはなんとか覚えていなければ。
「あっ……んふぅ」
「あんまり声出すと隣に聞こえるぞ」
 どちらかというと竹千代がこれ以上煽られたくないだけだが、それらしい理由をつけてもろはにも我慢をさせる。
「だっ、だって」
「気持ち良い?」
「ん」
「俺も良くして」
 着ていた物は二人とももう取り払っている。竹千代はもろはの手首を掴んで、自身に触れさせた。
「濡れてる……」
「お前もだぞ」
 もろはは両手で竹千代を包み込む。今この瞬間、もろはの掌を自分の欲が汚しているのだと思うと、竹千代は非日常に倒錯した。無理矢理二本目を捩じ込む。
「やっ……あっ、竹千代」
「痛いか?」
「んん……」
 容赦無く締め付けてくる中を、竹千代は蹂躙する。もろはは言葉を失って、ただ腰を振るばかり。
(や、やだ……)
 もろはは顔を真っ赤にした直後、今度は真っ青になって、薄っすらと涙を浮かべた。竹千代の指が中に居ることではない。それに反応して、勝手に体が動くことに。
(アタシ、こんなやらしいなんて……)
 淫乱だと思われて嫌われたらどうしよう。もろはの心配は杞憂だ。竹千代はもろはの体が自分を拒まないことに安心している。
「大丈夫か?」
「ん」
「手止まってる」
「だって無理……」
 熱くて訳がわからない。緩く握ったままのそれが、だんだん固く大きくなってきたのは解る。
(指二本より太いじゃん、これ……)
 そそり勃った状態の男を見るのは当然初めてで、その質量に尻込みする。しかしその間も中は確実に慣らされ、今や竹千代の指を離すまいと吸い付いていた。
 竹千代はもろはの秘部から蜜が零れ出たのを確認して、指を抜く。コンドームに手を伸ばした。
「もろは付けられるか?」
「もうするの?」
「まだ足りないか?」
「……足りてる」
 逆だ。もっとほしい。指じゃなくて竹千代そのものが。理性の欠片すら失った自分の考えを、否定するものはもう無い。
 学校で習った手順を思い出しながら身を起こす。竹千代から袋を受け取って、爪を引っ掛けないように慎重に先端に乗せた。
「待て、駄目だ」
 が、巻かれた部分を広げようとして、竹千代に止められる。
「何が?」
「お前の手、もう濡れてるんだぞ」
(そうだった、先走りが付くだけでも可能性はあるんだっけ)
 ぼんやりとそんなことを思い出している間に、竹千代が自分で装着する。もろはを押し倒して、脚を広げさせた。
「寒い」
 言われて、竹千代は肩から布団を被り、もろはに覆い被さる。
(電気ついてる意味無いんだぞ)
 結局手探りで入れることになるのか。エアコンを付けてやれば良かったと思ってももう遅い。
「……本当に良いのか?」
 最後の確認をする。
「良い」
「ここで断ったからって、別に嫌いになったりしないぞ」
「良いよ。早く入れて」
 急かされるのは意外だったが、もろはの半泣きの顔を見るとどうでもよくなった。
 もろはは竹千代の言葉や行動一つ一つに心動かされて、泣いたり笑ったり。逆も同じだ。竹千代はそれが愛なのだと、もう知っていた。
 二人の間に必要なのは、あとはもう、家族になることだけだ。大人になることだけだ。
「もろは」
「ん?」
「愛してる」
「なんだよ急に恥ずかし――あっ、待って、痛っ、あっ、ああっ!」
(だからもろはも俺を愛して、俺を強くしてくれ)

闇背負ってるイケメンに目が無い。