宇宙混沌
Eyecatch

夜伽 [4/4]

「竹千代爆睡って感じ」
 翌朝、もろはは子狸の姿に戻った竹千代を抱えてとわ達と合流する。
「こいつ徹夜したからな」
「へぇ、お楽しみだったんですかいっ!?」
 理玖が冗談を飛ばすと、せつながすかさずその頭を叩く。
「客に向かって酷ぇな!」
「冗談でもそういう発言はやめてくれ。そこもとの信用問題だぞ。しかし、本当に何もなかっただろうな?」
「いやなんか山の祟りみたいなのが出てきて。ずっと竹千代の結界の中に隠れてた」
「なんだそういう事か」
 ほっとした様子のせつな、面白くなさそうに肩を竦めた理玖。何の話かついていけてないとわ
「あー?」
「悪いなりおん。今日は寝かせてやってくれ」
 竹千代を抱えたまま出発したが、もろはは一人、昨夜のことを思い出して赤面した。
(なんだよあの最後のやつ!)
 結局、竹千代はもろはを抱き寄せたまま、夜通し話をしていた。その話の中で、もろはは竹千代の方が歳上だということを知った。他の会話の内容は、身の上話だったり戦い方の工夫だったり色々だったが、腰に回された腕と耳に直接入ってくる竹千代の鼓動が気になって、あまり頭に入ってこなかった。
(別にあそこ、あんなにくっつかなくても良かっただろ……!?)
 もろはの頭は竹千代の胸元に寄せられ、上から竹千代の声だけが響く状態だった。それで気付いてしまった。
(別にあんな良い面してなくても、良い奴じゃん……)
 竹千代の声と鼓動で耳を塞がれて、あのぞわぞわさせる声から意識が逸れたのはありがたかった。
 結局夜通し守られてしまったのは自分の方だ。この借りは返さないと。
「もろは、顔赤いよ? 昨夜寒かったの?」
 とわに尋ねられ、もろはは更に赤くなる。
「い、いや!? 別に! 竹千代が袈裟貸してくれたから」
「あれ、竹千代ずっとお坊さんの姿で居たんだ」
「本当に何もされなかっただろうな?」
「されてない!」
 念を押したせつなに叫び返すと、竹千代が起きてしまう。理玖が笑った。
「色男も大変だねえ」
「何の話?」
 寝惚け頭で訊いても、誰からも返事が無い。
「あー」
「よし、りおん、後は頼んだ」
 もろはは手を伸ばしてきたりおんに竹千代を託す。
「むー」
「あっ、ちょっ、寝起きに耳はっ……!」
 竹千代の叫びが木霊する。もろははその甲高い声で、昨夜囁かれ続けた甘い声の記憶を上塗りしようと努めた。

Written by