宇宙混沌
Eyecatch

第7話:消えた虹色真珠 [1/4]

「竹千代は見つかったか!?」
 理玖は大学が終わり次第、屍屋に駆けつけた。店ではとわと獣兵衛が、カウンター越しに何か話していた。
「高校の先生が実家から回収してくれた。今頃はもろはと家に居るだろう。今日はバイトは休ませた」
「そうか。無事なら良かった。本は?」
仕入れ担当[たけちよ]が居ないと値段が付けられん。来てくれたのに悪いな」
「とんでもない」
 だって本当のお目当ては、早速鮮やかな色のスカートを履いてくれている少女だ。
「それは?」
 理玖はとわの前に置かれた物を示す。
「昨日これの赤いの貰ったんですけど、セット物だったみたいで」
「包むから待っててくれ。おっと、紙が……」
 獣兵衛は青林檎を手に、店の奥へ姿を消した。不意に二人きりになり、理玖は焦る。
「竹千代さんと仲良いんですね」
 幸い、とわの方から話しかけてくれた。
「付き合い長いんでね」
「このお店で知り合ったんじゃないんですか?」
「まさか。竹千代がバイト始めたって聞いて、寄るようになったんです」
「じゃあどこで?」
「どこでしたっけねえ」
 できれば白を切りたい。でも、そうやって壁を作ったままじゃ、仲良くなんてなれないだろう。
「……一言で言えば、社交パーティーですかね。あんまり馴染みが無いでしょう?」
「全く……」
 一応、とわの父も会社社長だが、彼は仕事に家族を巻き込みたがらない。接待やら営業やらでそういった場があることは知っているが、連れて行ってもらったことは無かった。
「五年ほど前のことです」
「おまちどおさん」
 獣兵衛が戻ってくる。理玖もとわも、もう屍屋に用は無い。揃って外に出て、今度はちゃんと、理玖の方から切り出した。
「話の続き、気になります? またファミレスにでも行きましょうか」
「是非。今日はお小遣いも持ってるので」

闇背負ってるイケメンに目が無い。