宇宙混沌
Eyecatch

末摘花 [3/8]

片想われ

「竹千代」
 午睡をもろはに邪魔された。仕事終わりで疲れてるのに、と文句を言おうとして、潤んだ目にギョッとする。
「どうしたんだぞ? 村の奴等に何か言われたか?」
「そりゃこっちの台詞だよ」
 ぽすん、ともろはは俺の腹に頭を落とす。
「みんな竹千代の悪口ばっかり」
「お前の悪口じゃないんだから気にするな」
「気にするよ! だってあること無いこと……」
「はいはい、ありがとうだぞ」
 俺はもろはの頭を撫でる。
 この村で俺の悪口を言わないのはたった四人だけ。獣兵衛様、ヨネ、ヨネの父親、そしてもろは
 獣兵衛様はもっと小言を言っても良いと思う。ヨネは……あいつが話せるならどんな言葉だってめでたいことだ。親父さんは悪口を叩くような柄ではない。
 でも、もろはは。
「……晩飯、食べたいものあるか?」
「極楽鳥の焼鳥~」
「そんなのうちにあるわけないんだぞ。というか、極楽鳥って美味いのか?」
「知らな~い」
 この軽い口なら、一歩間違えば吐き出すだろう。俺への不満でも、理不尽な悪態でも。
 そうなったら三度目の正直だ。俺はきっと立ち直れない。
「……蛙って鳥と味が似てるらしいぞ」
「え゛!? やめろよ絶対食わねえからな!」
「冗談。わざわざ捕まえには行かないんだぞ」
 俺はもろはの脇の下に手を入れ、引き上げて添い寝させる。
「……また寝るの?」
「お前が起こさなかったらまだ寝てたんだぞ」
「寝るだけなの?」
「? 夕方になったら飯の支度するが」
 もろはは口を尖らせて、俺の胸に顔を埋めた。俺はその意図が解らなくて――考えているうちにまた夢に落ちていった。

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