第2章:理玖、教えを実践する [1/4]
「あ、理玖~」
「とわ様。……とせつな」
「おまけみたいに言うな」
おいらはとわ様の家がある村へ。二人で歩いているところに声をかけたところ、せつなはおいらをこれでもかと睨む。
「ったく……」
いや、やめておけ。いつものようにせつなに何か言いかけて、既のところで竹千代の教えを思い出した。
「おいらもう告白はしてるんだよな~」
「ふむ」
「だから改めて押すより、好感度を上げるか維持して、とわ様から返事を引き出すってのが、良いかと思うんだが」
「そうですね」
「お前『どうでも良い』って思ってるだろ」
「そんなことは。嫌われない方法も、訊く相手を間違ってると思っただけだぞ」
「なんか悪かった……」
竹千代は裁縫道具を仕舞うと、一応助言はしてくれた。
「だったら、意地悪や陰口の類は言わない方が良いんだぞ」
「とわ様に言うわけ無いだろ」
「とわ以外にも」
「なんで?」
「俺はそれで嫌われたことあるし、他人の悪口を自分の事のように感じる奴も居るんだぞ」
「もろはとか?」
「今もろはは関係無いんだぞ!」
って、縫い終わったばかりの雑巾また投げられたっけ。
「――おいらとしたことが、とわ様に目を奪われて、せつなを見逃しちまうとは」
「はあ」
無理矢理繋げたが、せつなの視線は冷たい。
「お二人はどちらに向かうところで?」
「散歩してただけ。理玖もどう?」
「ふん。私は邪魔か?」
「そんなことは!」
口を開いたとわ様よりも先に、せつなの言葉を否定する。
「花の様にお美しい姫様と、それも二人とご一緒できるなんて光栄ですよ」
おいらの言葉の後、暫し沈黙が降りる。
「……気持ち悪い」
「どうしたの理玖? 変な物食べた?」
「ええ~?」
おい竹千代! なんか心配されてんるだが!?
♥などすると著者のモチベがちょっと上がります&ランキングに反映されます。
※サイト内ランキングへの反映には時間がかかります。
Written by 星神智慧