宇宙混沌
Eyecatch

第3話:理玖、とわを謀る [4/4]

「完璧だった。本当に感謝する」
 理玖が拍手で竹千代を出迎えると、竹千代は子狸の姿に戻って拳を天に突き上げた。
「ふふん、これで他の狸を騙くらかしたこともあるんだぞ」
「いや本当に凄いけど」
 アタシも手を叩いていたが、溜息を吐いて止める。
「話を作り込みすぎ。『あの後どうなった?』って聞かれたらどうすりゃいいんだよ」
「言ってみたけど玉砕したって言えば、それ以上深追いされないと思うぞ」
「なるほど」
「ま、とりあえず俺達ができるお膳立ては以上なんだぞ。あとは自然な感じでバッタリとわと接触するんだぞ」
「ああ。本当にありがとな!」
 理玖が再度礼を言って去る。アタシ達はその場に座って一休みした。
「力を合わせればなんとかなる、か」
「……狸穴の件、助太刀してくれたことは感謝してるんだぞ」
「やっぱりその事だよな」
 竹千代は全員救いたくて、でも一人じゃ救えなくて。だからアタシを連れて行った。誰か一人、秘密を明かす相手として、アタシを選んだ。
「女は目出度いな」
 疲れたのか、竹千代は大の字に寝転がって呟く。
「何が?」
「男は別に、好きじゃなくても女と寝れるわ」
「……そーだな」
 釘を刺された気がした。竹千代が寒い日に夜着を重ねて添い寝してくれたのは、別にアタシが特別だからじゃないって。
 こりゃ、本当に言ってみても玉砕するんだろうな。

闇背負ってるイケメンに目が無い。