宇宙混沌
Eyecatch

君が冷たいのはその胸の内が熱いから [9/12]

 夢を見ていた。竹千代と山の中に座り込んで、アタシが花冠を作ってあげてる夢。
 よりにもよって、あいつの夢なんか見るなよ。いや、昨日あんなことを言われたから夢に出てきたのかもしれない。
『良いなー。竹千代と結婚したらあの美味い飯毎日食えるのか』
 夢の中のアタシがそう言う。
 そうだ。本当に羨ましかった。竹千代に娶ってもらえる奴が居るのなら。
 そりゃあ、ちょっと人付き合いに難はあるけどさ。でもそれなりに強かったし、顔も整ってるし、なんだかんだ言って優しかったじゃん。アタシには。
『もろはは俺と結婚したいか?』
 したかった。結婚なんてよく分からなかったけど、鋼牙や菖蒲ちゃんを見てると良いものなんだろうなって思ってた。
 誰でも良かったわけじゃないけど、アタシの近くに居る男は竹千代くらいしか。それに、まあ、竹千代なら良いかなって。
 そうしたらこの後口吸いされて、押し倒されて……。
「!?!?」
 思わず飛び起きた。アタシ、夢の続きを知ってる。なんで?
 いやいやいや、夢って判ってるような夢なんだから、そういう風に考えただけなのかも。
 そう思って再び横になったけど、次々とその「続き」が鮮明に浮かび上がる。アタシは怖くなって逃げた。追いつかれた所で村の子供達に色々言われて、石を投げられて――此処から先は記憶の通りだ。
 もしかして、夢じゃない? そういえば、あの日は二人とも仕事の筈だったのに、その後アタシが仕事をした覚えもなければ、中止となった竹千代の分を埋め合わせた記憶も無い。
「竹千代……」
 あいつが何かしたのか? 妖術だけは得意だし、秘密主義だからアタシが知らない技の一つや二つ、いや三つや四つくらいあったっておかしくない。日が昇ったら、また問い詰めに行かないと。
『俺が離れたいのは――お前だ、もろは』
 その言葉が「やめとけ」って言った気がしたけど、首を振って頭から追いやる。
 お前はアタシのことが、もう好きでもなんでもないのかもしれねえけどさ。アタシはまだ好きなんだよ。多分、最初からずっと。

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