宇宙混沌
Eyecatch

君が冷たいのはその胸の内が熱いから [10/12]

「ええ~竹千代さんみたいな男前が居る村だなんて~~。お姉ちゃんなんで教えてくれなかったの~~~?」
「おい、そいつ化け狸だぞ」
 獣兵衛様は昨夜遅くに帰ってきた。野暮用というのは、なんとあの石を投げた奴の嫁と、その妹を迎えに行っていたらしい。確かに二人と家財が載る車はうちくらいしか持ってないが……ゆっくり荷下ろししてもらう為に預けてあった車を引き取りに来たら、妹の方に絡まれてるんだぞ。
「なんで妹まで居るんだぞ」
「嫁の両親はもう死んじまっててよ。一人残すのも可哀想だし、まとめて引き取ることにしたんだわ」
「そりゃあ徳が高いことで」
「ねえねえ竹千代さんお独り? それとももう決めた人居る?」
「いや、だから俺、化け狸なんだぞ……」
「愛に種族は関係無いわよ~」
 ううむ、言われればそれはそうなのだが。
「出発進行~!」
 結局、ついてくると言って引かない少女を車に載せたまま、坂道を登る。別に辛くはないが、面倒くさい。飽きたら帰ってくれることを祈る。
「あっ、帰ってきたよ……」
 屍屋の前では、とわと理玖様が待ち構えていた。店の中の誰かを呼ぼうとして、すぐさまやめる。
「ちょっとタンマ。中で待ってて」
「……竹千代、流石に切り替えが早すぎねえか?」
 理玖様は腕を組んで呆れ顔だ。なんとなくどういう誤解をされているのかを察する。
「この子は村の奴の嫁の妹だぞ」
「他人じゃん」
「他人だな」
「初めまして! 引っ越してきた……」
 俺は言葉を切った少女を振り返る。その視線は理玖様ととわに釘付けだ。
「――って言います! そちらの麗しい殿方は!?」
「あー……なるほどね」
 二人も察したらしい。そしてとわは相変わらず男に間違われるのな。こんなに胸あるのに。
「よろしくね、――ちゃん。でも私は女だよ。とわって言うんだ。こっちは私の恋人の理玖」
「どうも」
 女の争いは恐ろしい。さっさと中に入ろうとしたが、とわが腕を引っ張った。
「それにしても竹千代も男前~。ちょっとジュリアン君に似てる?」
「言う事があるなら単刀直入に頼むぞ」
「もろはがもう一回竹千代と二人で話があるってさ。あの子のことは私達でどうにかするから、行っといでよ」

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