宇宙混沌
Eyecatch

第3章:Never come true


 永遠[とわ]なんてものは存在しない。なのにその言葉だけは定義されている。
 虚ろだ。それは[まこと]になり得ない[いつわり]だ。
 愛されるものは美しく散って消える。いや、散り逝く運命にあるから美しいのだ。
 とわ様。
 貴女はそんな名を与えた親元を、その身を託す流れにするんですかい?

「お久し振りです。もろは」
 屍屋に赴くと、赤いリボンを付けた少女が一人で昼餉を食べていた。おいらの姿に驚いて、喉に詰まらせたらしい。咳き込んでから叫ぶ。
「りっ、理玖!! お前、アタシんとこに来る前に、まずは身重の嫁さんに会いに行ってやれよ!」
「身重の……」
 やはりか。籠や従者をすんなり受け入れた時点で、薄々勘付いてはいたが。
「そうだよ! まだそんな大荷物ってこたあ、今着いたばっかりだろ?」
「その通り。いやぁ、おいらとしたことが、とわ様のご実家の正確な場所を知りませんで」
「あ、そっか。しかもアタシ達が修行してる間に引っ越してたからな」
 もろはは箸を置き、外へ。
「村はあっちの方。正確には骨喰[ほねく]いの井戸の近くだけど、村の奴に聞けばわかるよ。今日、獣兵衛さん留守でさ、アタシは店番してねえといけねえから」
「ありがとうございやす。ああそうだ、これお土産です」
 穴の開いた丸い硝子[はり]の玉に、細いリボンを通した物をもろはに渡す。
「何だこれ? 綺麗だし高く売れそう!」
「売っても構いやしませんが、とわ様やせつなとお揃いですよ」
 一緒に包んでいた他の二本を見せる。もろはには赤のリボンに桃色の玉、せつなには黄色のリボンに紫の玉。とわ様には白のリボンに水色の玉だ。
「渡来品です。髪の結い紐にでも」
「だったらアタシじゃなくて、とわのとこの一番下のにやってくれよ。まだ付けられないだろうけど、三人姉妹で揃いの方が良いだろ?」
「とわ様にもう一人、妹君が生まれたのですか。もろはは優しいですね」
 代わりにもろはには、換金しやすい反物を一つ与えた。屍屋を後にし、村を目指す。
「日が暮れるまでに着けば良いか」
 骨喰いの井戸なら場所を知っているから瞬間移動でも行けるが、殺生丸対策も考えないといけない。おいらは敢えて徒歩の旅を選んだ。

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目次

  1. 実家に帰らせていただきます
  2. 父親
  3. Never come true
  4. 貴方だけのお姫様
  5. 言い訳できない
  6. ましな方の地獄
  7. 一角の甪端
  8. 溺れていたのは
  9. 一緒に帰ろう

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