第3章:Never come true [2/4]
永遠なんてものは存在しない。なのにその言葉だけは定義されている。
虚ろだ。それは実になり得ない偽だ。
愛されるものは美しく散って消える。いや、散り逝く運命にあるから美しいのだ。
とわ様。
貴女はそんな名を与えた親元を、その身を託す流れにするんですかい?
「お久し振りです。もろは」
屍屋に赴くと、赤いリボンを付けた少女が一人で昼餉を食べていた。おいらの姿に驚いて、喉に詰まらせたらしい。咳き込んでから叫ぶ。
「りっ、理玖!! お前、アタシんとこに来る前に、まずは身重の嫁さんに会いに行ってやれよ!」
「身重の……」
やはりか。籠や従者をすんなり受け入れた時点で、薄々勘付いてはいたが。
「そうだよ! まだそんな大荷物ってこたあ、今着いたばっかりだろ?」
「その通り。いやぁ、おいらとしたことが、とわ様のご実家の正確な場所を知りませんで」
「あ、そっか。しかもアタシ達が修行してる間に引っ越してたからな」
もろはは箸を置き、外へ。
「村はあっちの方。正確には骨喰いの井戸の近くだけど、村の奴に聞けばわかるよ。今日、獣兵衛さん留守でさ、アタシは店番してねえといけねえから」
「ありがとうございやす。ああそうだ、これお土産です」
穴の開いた丸い硝子の玉に、細いリボンを通した物をもろはに渡す。
「何だこれ? 綺麗だし高く売れそう!」
「売っても構いやしませんが、とわ様やせつなとお揃いですよ」
一緒に包んでいた他の二本を見せる。もろはには赤のリボンに桃色の玉、せつなには黄色のリボンに紫の玉。とわ様には白のリボンに水色の玉だ。
「渡来品です。髪の結い紐にでも」
「だったらアタシじゃなくて、とわのとこの一番下のにやってくれよ。まだ付けられないだろうけど、三人姉妹で揃いの方が良いだろ?」
「とわ様にもう一人、妹君が生まれたのですか。もろはは優しいですね」
代わりにもろはには、換金しやすい反物を一つ与えた。屍屋を後にし、村を目指す。
「日が暮れるまでに着けば良いか」
骨喰いの井戸なら場所を知っているから瞬間移動でも行けるが、殺生丸対策も考えないといけない。おいらは敢えて徒歩の旅を選んだ。
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Written by 星神智慧