宇宙混沌
Eyecatch

娘を膝の上で寝かせてたら男の名前呼ばれた [4/4]

 疲れた。まあ、殺生丸とりんが仲直りしたんだから良いだろ。あのおしどり夫婦が喧嘩したままだと、何が起こるか解らない不安があったし。
 結局俺の悩みは解決したようなしていないような。まあ良いか。相手が殺生丸なのが癇に障るが、共感は得られたのだし。
 家に着くと、噂をすればで、竹千代ととわが戸口に立っていた。
「お、どうしたんだ?」
「叔父さん」
「すみません、もろはがまた紅使って……」
「そうか。運んできてくれたんだな」
 挨拶をして帰ろうとする竹千代を、ふと呼び止める。
「竹千代」
「はい?」
 呼ばれて竹千代は振り返った。その表情には疲労が滲み出ている。
「……いや、気を付けろよ」
「? はい」
 今、俺、何を言おうとした? もろはのことどのくらい本気なのかって?
 そんなの、あいつの憔悴しきった顔を見たらわかるだろ。もろはが紅を使って倒れる度に一番心を擦り減らしているのは、一番近くに居る竹千代だ。
 俺はかごめが寝かせたもろはの額を弾く。
「もう紅使うんじゃねえぞ」
 深い夢の中に居る娘は、何も返事をしなかった。

闇背負ってるイケメンに目が無い。