宇宙混沌
Eyecatch

もっとすごいこと [2/4]

 竹千代は転がしたもろはの脚を開く。入り口は湿るどころか、周囲や尻の方まで濡れていた。
(は、恥ずかしい……)
 裸など何度も見られているが、もろはに急に羞恥心が沸き起こる。
(口吸いだけで垂れるくらい濡らして、淫乱だと思われたってしょうがない)
 竹千代が体を寄せた。おそらくこのままでも入るだろうが、もろはは制止する。
「奥は、慣らして、くれないの?」
 竹千代は物欲しそうにひくつく秘部から目を離し、もろはの顔を見る。紅を差したように赤く染まった頬、潤んだ瞳。
(……可愛い……)
 竹千代の言動一つ一つに影響されて、いつもの勢いは何処へやら、命令も依頼も上手くできずに、竹千代にその気があるかどうかの質問しかできていない。このまま無視して、もろはの表情を更にぐちゃぐちゃにしたい欲望には堪え、竹千代は口を開く。
「もっとちゃんとおねだりできたらしてやるんだぞ」
「…………」
「何をしてほしいんだぞ?」
「……指で、慣らして」
「何処を?」
「此処……」
 もろはが自分の指で秘部を示す。
「此処?」
 違うと知りながら、その指先の近くにあった蕾を撫でた。もろはは短く叫んで、腰を揺らす。
「違っ……」
もろははこっちも好きなんだぞ?」
「そこじゃなくて……」
「ちゃんと指さしてみ?」
 もろはは手を腿の裏に回した。両側から入り口を指す。顔は既に着物と同じくらい真っ赤になっていた。
(自分で開いてくれたら満点だが、まあ良いか)
 竹千代は指を滑らせる。まずは一本。物足りなさそうなのですぐに二本に増やす。
「あっ、待って、駄目ぇ、竹千代!」
「何だぞ?」
 いやらしい音を立てながら中を掻き回していると、もろはに爪を立てられる。
「指でイッちゃうの、やだぁ……」
「注文が多いんだぞ」
 竹千代は指を抜いて、十分に固くなった己の芯を充てがう。その時、もろはが竹千代の腕を掴んだ。
「今誰か居た!」
「気の所為だぞ」
 その、小枝がポキリと踏み折られる音は竹千代の耳にも届いていた。しかし此処まで来て中断出来るほどの理性は残っていない。音を立てた者にも心当たりがある。身の危険が迫っているわけでもないので、続けた。
「……こういうのがあるから外やだ」
「船の上よりマシだぞ」
 先端を押し込みながら、竹千代はふと思い出す。
「もし俺が当主のままだったら、寝所も家臣に覗かれてたんだぞ」
「何それ」
「ちゃんと俺の子供かどうか確かめる必要があるからな」
 もろはは誰かに見られながら竹千代とまぐわう場面を想像して、無意識に中を締めてしまう。
「殿様って大変なんだな」
「その代わり嫁は沢山もらえるんだぞ」
「……沢山ほしいの?」
「別に」
 竹千代は入口近くの狭いところで引っかかった芯を、無理矢理押し込む。
「んっ!」
 少し痛みが走って、もろはは堪える為に竹千代を抱き寄せた。
「此処に下の口から涎垂らすくらい、俺を好いてる女がいるからな」
 再び奥で行き詰まる。竹千代のそれはもろはの体格に見合わない程度に長く、まだ半分程しか包まれていない。
「他の女なんか作ったら、嫉妬で何されるかわからないんだぞ」
 言い返さないのか、言い返せないのか。黙ったままのもろはの頬を撫で、口を吸う。
(涎ではなく涙だ)
 いつだってもろはが自分に向けるものは綺麗だ。その肌は、血や泥で汚れていようが竹千代の目には体の内側から輝いて見えるし、もろはが流すものは全て、あの日竹千代の為に流してくれた涙が形を変えたものだと思っている。ただそれを素直に口にはしないが。
 竹千代はまだ先があることを既に知っている。もろはがもっと乱れられることを。
「んんっ……んっ……」
 口を離さずに体重をかける。もろはの奥を押し割って、本当の一番奥まで挿し込んだ。それでも根本は少し余るが、動いているうちに柔らかくなって此処も濡らしてくれるだろう。
「痛いか?」
「大丈夫……」
 竹千代はもろはの腰紐を解いて肌を見せる。もろはも竹千代の着物の下に手を入れて、素肌同士を触れ合わせた。
「もろは」
 名を呼ぶと、返事の代わりに喉元に唇が寄せられる。そのまま噛み千切られるのではないかと馬鹿なことを思って、いっそそのような死に方も呪殺されるより何百倍もマシだと愚かなことを考える。
「この首はお前にやったんだから、好きに使えぱ良いんだぞ」
 竹千代はあの時、もろはに命を捧げたのだ。今更改めて言う必要など無いが、もろはは貰った認識が無いかもしれないので繰り返した。
「噛みたいなら噛めば良いぞ」
 もろはは舌先で竹千代の肌を舐めていたが、やめる。そのままそこで呟いた。
「竹千代に怪我なんかさせられねえよ」
「道理なんてすぐわからなくなるんだぞ」
 竹千代は腰を引き、それから再び深く穿つ。もろはから野獣のような呻きが上がった。もう一度。今度は、もろはは竹千代の背中に爪を立てる。生活に支障は出ないが、当然無傷ではいられない。
「はあっ……んっ……」
 暫く我慢していたようだが、奥を突き続けていると、やがて竹千代の肩口に強烈な痛みが走った。
(どうせなら痛みも傷も残ってくれれば良いのに)
 竹千代も曲がりなりにも妖怪だ。背中の爪痕も、肩の歯型も、数日もすれば跡形もなくなってしまう。
(今からお前の形見を何にするかなんて、考えたくはないが……)
 だが何事も早く備えるに越したことはない。もろはがその一生を終えるのなんて、竹千代の長い寿命と比べればほんの一瞬の出来事だ。
「竹千代? ごめん、痛かった、よな」
 もろはは竹千代の眉間に皺が寄っているのを見て、刺激の合間合間に言葉を繋ぐ。
「構わぬ。それよりお前、さっさと俺の子を孕むんだぞ」
 唯一長く残せるとしたら。
「ハァ!? まだ片手で数える程しかしてねえ――」
 もろはの反論は、竹千代に角度を変えて突かれたことによる、自らの悲鳴に掻き消される。そのまま果てるまで、もろはは竹千代の肌に傷を付け続けた。

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