宇宙混沌
Eyecatch

運命の日 [1/2]

「あほいひひょーははへへはい」
 己の一物を咥えたままのもろはがもごもごと口を動かした感触に、竹千代の背筋がぞわりと痺れた。
「舐めるか喋るかどっちかにしろ」
「あと一両が稼げない!」
 もろはは竹千代を吐き出すと、根元をぎゅむ、と指で絞る。思わず声が漏れた。
「あっ、は……。あと一両だろ、頑張るんだぞ」
 竹千代は上体を起こしてもろはの頭を撫でる。裸に剥かれた少女は上目遣いで少年を見た。
「茶屋に入る金があるならさあ~」
「断る」
「まだ何も言ってない!」
「どうせ『くれ』か『貸せ』のどっちかだぞ」
「うぐ」
「俺が稼いだ金は俺の金だ。百歩譲って貸すのは良いけど、獣兵衛さんより利子は高いぞ?」
「竹千代の意地悪!」
 そうだ、自分は意地悪だ。自覚のある竹千代は薄く笑うと、もろはの頭を抱き寄せて口づける。一方的に舌を差し込んで蹂躙する内、もろはは観念したかのように竹千代の首に腕を回した。
「……久々だな」
 離した唇から糸を引きつつ、もろはが呟く。竹千代はそれを舐め取ってから返す。
「最近忙しかったからな」
 もろはが虹色真珠を手に入れてからというもの、竹千代は理玖の指示を秘密裏に遂行しつつ、もろはの身の安全を確保するので手一杯だった。理玖の興味が三姫のうちとわ一人に絞られ、無事四凶を葬り去った後も、ややこしい問題が続いて、漸く共に一息つけたところだ。
「もう少し舐めてくれ」
「今日あんまり硬くならないな。酒でも飲んだのか?」
「別に」
 単に集中できていないだけだ。理玖関連で忙しくなくなった途端、自分自身の問題が頭を過る。
「もろは」
「ん?」
 今度は玉を揉みながら、裏筋を丁寧に舌で撫でていた彼女に問う。
「お前幾つになったんだぞ?」
「十五」
「もうそんな歳か」
(とすると菊之助も……)
 竹千代の弟はもろはと同い年だ。
(いつ元服してもおかしくないな)
「考え事か?」
 また萎みかけた欲を、もろはが強めに握る。
「気が乗らないならやめるか?」
「馬鹿、わざわざ部屋取ったのは俺だぞ」
 そんな心配は、まぐわい始めれば束の間でも忘れられる。竹千代は集中しようと、もろは以外を視界と思考から締め出した。
「幾つになっても全然変わらないんだぞ」
 言いながら小ぶりな胸の先端を摘むと、もろはは唇を噛んで睨んでくる。
「悪かったな、小さくて」
「小さい方が可愛いぞ」
「変態~~」
「何を今更」
 抱き寄せて隣に寝かせる。今度は竹千代が覆い被さった。
「お前だって好き者のくせに」
「んなこと、あ、」
 もろはの言葉の途中で胸を吸う。吸い付く強さに合わせて嬌声が上がる。
「お前本当に乳首弱いんだぞ」
「だ、だって……」
[やや]に吸われる度にこんな声出す気か?」
「出さねえよ! お前が……」
「俺が?」
「~~~~なんでもない!」
(可愛い)
 もろはは照れて顔を隠してしまう。その様子が愛しくて、お蔭で竹千代の下も元気になってきた。
 濡れていることを確認して、指では慣らさずに直接宛てがう。二、三度入り口を擦ってから、中へ。
「ふぁ、」
「痛かったか?」
「大丈夫」
 揺さぶり始めると、もろはは顔から腕を外して竹千代の背中へ。好い所に当たるように角度を変えると、爪が刺さる感覚がした。声は出さなかったが顔を顰めてしまって、その顔を見たもろはが蒼褪める。
「あ、悪い……」
「すぐ治るぞ」
 痛くないわけではない。が、竹千代も妖怪なので見た目ほどの痛手ではない。
「それよりこっちに集中しろ」
 体を起こす。もろはの腰を掴んで、弱い所を強く穿った。
「あっ、ひゃ、んぁ、あん!」
 普段よりも高い声が竹千代の耳を満たす。
 この可愛い声を覚えていたい。
「…………」
 駄目だ。今日はどうしても弟の元服の件が脳裏にちらつく。実を言えばこのところずっと、「今日こそ、その報せが届くのでは」と戦々恐々としていた。いっそさっさと届いてくれれば、覚悟が決まるかもしれないのに。
「竹千代?」
「悪い」
 中で柔らかくなってしまった。抜こうとしたところを、もろはに止められる。
「じゃあこのまま休もう」

闇背負ってるイケメンに目が無い。