宇宙混沌
Eyecatch

第1話:屍屋骨董品店 [4/4]

「過保護な従姉だな」
 竹千代は理玖が漁っている途中だった本を片付ける。
「あいつらと一緒に暮らせば寂しくないんじゃないのか?」
「そうでもないよ。あいつらの家庭事情も複雑だからさ」
「ふーん」
「今日も泊まって良い?」
「流石に保護者に一言入れた方が良いんじゃ……」
「今頃学校には来たって連絡行ってるよ。おじさん達は、アタシが無事なら別に何でも良いと思う。警察にも届けてないみたいだし」
「お前の家の事はお前にしかわからないから、それで良いなら良いけど……」
「良い」
 もろはが竹千代を着物の上から抱き締める。
「おい、店開いてるんだぞ」
「お客さん滅多に来ないじゃん。さっきの理玖? って人はよく来るけど。あいつの金で食ってるようなもんじゃね?」
「理玖様、学生とは思えない金の使い方するものな」
 だから「様」なんて付けて揶揄しているのだが。
「……くっつくな。別に何処かに行ったりしないんだぞ」
「んー。なんか寂しいから」
「くっついてたら紛らわせるのか?」
 竹千代は、答えなんて訊かなくても解っているのに、わざわざ答え合わせをしてしまった。
「うん。ううん。こうやってひっついてる間だけ」

 誰しも寂しかったのだ。
 だから少年は家を飛び出して、
 赤い少女は壁を作った。
 青年と白い少女は夢を見始めたばかり。
 少年と赤い少女は夢から醒めたばかり。

闇背負ってるイケメンに目が無い。