宇宙混沌
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麒麟丸パパの苦悩 [2/4]

 状況が変わったのは、それから一年近く経ってからだった。とはいえ、数百年数千年と生きてきた儂らにとっては、大した時間ではない。
「父上」
 前回の睡眠から四日後。りおんが怪訝な顔で尋ねる。
「この音、心臓の音ですよね?」
「……ああ」
 まずいぞ。おい理玖、一体誰と同衾しているんだ?
「理玖の心臓の音ではないか?」
「急に聞こえるようになったのですか? それって、何か重い病気なのでは!?」
 心配そうな顔で腕を掴まれ、儂は慌てて宥める。
「そう慌てるでない。己の心の臓の音が聞こえるような体勢で寝ているのだろう」
「それってどんな体勢ですか」
「……腕枕とか?」
 苦し紛れの説明に、りおんはとりあえず納得した。しかし、儂の「早く目覚めてくれ」という願いも虚しく、この日理玖はたっぷりといつもの倍近くの時間眠り続けた。

「波の音が小さい」
 例の心臓の音がしてから二回目に理玖が眠りについた時、りおんはまた眉間に皺を寄せていた。
「それに……呼吸の音がもう一人分」
 ああああああ〜〜〜理玖〜〜〜〜! また誰かと同衾しておるのか〜〜〜〜〜!!
「……下の部屋で雑魚寝でもしているのだろう……」
「そうかもしれませんね」
 あっさり納得したりおんが逆に怖い。え、もしかしてりおん、解ってて言っている? お父さんそんなふしだらな子に育てた覚えは無いが??
 この日も理玖がたっぷり眠ってから、音が止む。理玖、儂はお前のこともそんないやらしい奴に造った覚えは無いぞ。

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