宇宙混沌
Eyecatch

第2章:楽園喪失 [1/4]

「ところで、なんで草太パパが神社に居るの? 今日平日じゃん」
 とわ様が棚の上のデジタル時計を見て言った。実物を目にすると、希林の記憶が呼び起こされて、令和の世にしか無い物でもそれが何なのか理解できるな。
「有給消化だよ。年に五日は休みなさいって法律」
「あれ? 今年は旅行とか行ってないの?」
「芽衣の中学受験でね。ガブリエルを受けるんだってさ。そういえば」
 草太はおいらを見る。
「希林先生が行方不明になって大変だって噂を聞いたけど、まさかとわ達が関係してたとは……。希林先生はどうなったんだい?」
「私達が殺した」
「えっ」
 突然のサスペンスな発言に、草太が反応に困って黙り込む。
「とわ様、ちょっと言葉足らずでは。あのですね、希林の奴、向こうでとんでもない事をしでかしまして。挙句の果てにとわ様のことを殺そうとしたんで」
「それなら良し」
 良いのかよ。とんだ親馬鹿だな、と思いつつ隣を見ると、とわ様は目に涙を浮かべていた。
「どうしやした?」
「私達って、私と理玖じゃないんだ。私とりおん。あいつ、死んでなかった。理玖が命を懸けたのに」
「最終的に倒せたなら良いじゃないですか。おいらもこうして生きてやすし」
「理玖との約束すぐに破っちゃった。生きてくれって……」
「りおん様を救ってくれって、そちらを果たそうとしてくれたからでしょう? それに、そのついでにおいらも復活したんですから!」
 駄目だ。この状態になると、とわ様は暫くずっとぐずぐず言っている。
 おいらは無意味と知りつつも、とわ様の背を撫でて宥める。草太は黙って立ち上がり、部屋を出た。暫くすると、ポットとカップ、それから金属缶を持ってくる。
「……アールグレイだ」
「さっき買い物した時にね。とわが好きだったなあって思って。丁度良かった」
 とわ様が泣き止んだ。流石に育ての親だな。
「とわが理玖さんを本当に好きなことは解ったよ。理玖さんも、命懸けでとわを助けてくれたんですね」
 草太がポットに茶葉を入れ、湯を注ぐと良い香りが広がる。
「ちゃんと愛し合ってるなら反対する理由は無いよ。第一印象がね、言葉は悪いけど理玖さん軟派っぽかったから」
「実際最初はナンパだったよね」
「ナンパとは?」
「うーん……下心持って女に声かけること」
「道尋ねただけじゃないですか!」
「嘘。絶対待ち伏せしてたでしょ。盗品の刀押し付ける為に」
「理玖さん、やっぱり盗みをやる方の海賊なの?」
「うう……」
 昔の悪行の言い訳が思い付かない。だって全部自分がやった事だ。
「今は真面目に働いてるし、悪い事は私がさせないよ」
「とわ様……」
「誓ってもらえるかい? 理玖さん」
「勿論です。家屋を壊す強さで殴られたら、流石のおいらも骨折じゃ済まないかもしれやせんし」
 草太は今度はとわ様を白い目で見る。
「暴力で言うこときかせてるの? 様付けなのも気になってたんだけど……」
「うわーん誤解! そりゃあ怒って壁や床壊したことはあるけど~」
「あるんだ」
「顔の横はなかなかの迫力ですよ」

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