「よう」
神社に帰ったら犬夜叉が居た。居間に馴染んで白米食ってた。
「叔父さん!?」
「犬夜叉様!? 何故此処に!?」
「様付けやめろ、気色悪い。かごめに井戸に落とされたんだよ」
一体何やらかしたらそんな罰を受けるんだよ。
「ってことは、また過去と通じたの?」
「俺が落ちた時だけな」
「犬夜叉くん、おかわりは?」
「くれ」
犬夜叉は空になった茶碗を、とわ様のおばあさまに渡す。いや馴染みすぎだろ。
「とわ達もお昼食べる?」
「うん」
他の皆の昼食も机に並べ、一服する。おいらは昨日の残りの果物を戴いた。
「悪いな。かごめを連れて来れれば良かったんだが」
「良いのよ。犬夜叉くんが元気ってことは、かごめも元気なんでしょ?」
「最近は顔の皺を気にしてる」
「犬夜叉はほんに変わらんからなぁ」
「ああ」
おいらよりも幼い顔の、それこそとわ様と同じくらいに見える半妖が、年相応の憂いを顔に浮かべた。
「……で、お前らは楽しんでそうだな」
「本当はすぐ帰りたかったんだけど、井戸が動いてくれなくて……。皆心配してるよね?」
「そういえば、手紙はどうなりやしたかね?」
昼食後、井戸の中を確認する。便箋は無かった。
「あとは向こうで読んでくれるかだね」
「ええ」
おいらは持ってきていた襟巻きを井戸に落とす。とわ様が再度、中を照らす。やはり底に落ちたままだった。
「俺と理玖で交代して見張るか?」
「大変じゃない?」
「犬夜叉に続いて誰も此方に来なかったということは、気付いてすぐ二人を呼びに行ってたんじゃ間に合わなさそうですね」
「流石に私がずっと此処に居るのはお腹の赤ちゃんが心配だし、井戸が動く条件を突き止めた方が……」
「……そういや、音がした」
犬夜叉が思い出したように呟く。
「からから……って……」
「とわ様も何か聴こえると言って、井戸を覗きましたよね?」
「うん」
とわ様は顎に指を添える。
「私の時もカラカラいってる感じだった。何だろうね」