宇宙混沌
Eyecatch

夢は終わる、愛は死なず [5/8]

「悪い……」
 膝を突いたおいらに、とわ様が息を呑んだ音がした。せつなが船乗り達に治療道具を取ってくるよう指示する。
「おいらだけ瞬間移動して逃げてきた……」
「竹千代は!?」
 堪らず、といった風にもろはが叫ぶ。おいらは変身を解き、頭から顔に流れる血を拭った。
「爆発で船に穴が空いたんで、そこから海に投げた。一応爆発の瞬間は庇ったから、直撃は受けてないと思うが――」
「なんで一緒に戻って来ないんだよ!」
「瞬間移動じゃ他の生き物は連れてけないって、前にも言っただろ」
「もろは、今はやめよう。理玖も怪我してるんだから」
 とわ様とせつなが肩を貸してくれる。部屋で治療を受けた。
「荷は何だったのだ?」
「火薬ですよ。凄い量だった。もうあの船自体沈んでるだろ」
「どうして爆発したの?」
「向こうの船乗りが鉄砲を撃ってきまして。荷が何なのか知らなかったみてえですね」
「そっか……」
「ま、想定通りヤバい武器の密輸入船で、予定通り掃討したということで」
「報酬の心配より竹千代の心配をしてやれ」
「その前にせつなはおいらの心配をしてくれねえか?」
「傷は酷いが命に別条は無いだろう」
 最後に包帯をきつく締めて、せつなは言い放つ。
「良かった。竹千代は私達で探すから、理玖は寝てて」
「お願いしやす」
 寝台にうつ伏せになり、顔を覆う。
 竹千代に悪いことをした。やっぱりおいらが一人で行けば良かった。時間はかかるが、おいらだって空を飛べるんだから。そうすれば向こうの船乗りが阿呆をしでかしても、おいらも無傷で逃げられたかもしれねえ。
 海には鱶も居る。第一、気絶していたら溺れ死ぬかもしれない。安全を確保してから戻って来たかったが、巨船が沈み行く傍では足場も無い。出血多量で意識が飛ぶ前に、こうするしかなかった。
「……全部言い訳だ」
 竹千代が見つからなかったら。見つかっても変わり果てていたら。もろははもう二度とおいらで暖を取らないだろう。
 どうして麒麟丸が強さを追い求めたのか、少しだけ解ったような気がした。

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