宇宙混沌
Eyecatch

第1章:変化 [2/3]

「理玖臭い」
「えへへ」
 私は朝食の席で顔を顰める。とわは舌を出して誤魔化し、隣に座った。
 とにかく、機嫌は直ったらしい。とわと喧嘩になる度、金品や共寝で機嫌を取ろうとする理玖も理玖だが、実際それで許してしまうとわもとわだ。
「そう言うせつなも翡翠の匂いしねえ?」
 向かいのもろはがにやつく。しかしその表情はどこかぎこちない。とわの意識が自分に向かないように話を振ったようだ。
「ああ。昨夜寝るまでかるたをしていた」
「えー良いなー。私達も誘ってよ」
「お前は理玖と過ごしていただろう」
 とわは照れて顔を赤くする。いつまで経ってもお熱くて何より。
「声聞こえてた?」
「いや」
 今更聞こえたところでどうとも思わないが。実家では、両親が子作りしている所に通りかかって一人で気まずくなったりしたし、こういうのは夫婦なら当たり前と気にしないのが一番だ。
 とわは汁物を飲み干した後、ふと顔を上げて匂いを嗅ぐ。
「もろはは竹千代と一緒だったの?」
 もろはは顔を固めた。私が訊かないでやったことを、悪気も無く訊いてしまうのがこの姉だ。
「だ、だって朔の日はアタシ一人になって暇だからさ~。アタシ達は双六してたんだ」
「そっか」
 とわは然程興味が無かったのか、それ以上深くは訊かなかった。食事を終え、外に出る。身を切るような風に凍えた。
「急に寒くなったね」
「とわは無理せず船の中に居ろ」
「は~い」
 今日は移動日だ。妊婦の手を借りるほど忙しくはない。とわも最近は裁縫の仕事などにも慣れてきた。
「あのさっ」
 仕事中、もろはが声低くして訊いてくる。
せつなはどこまでいった?」
「何の話だ?」
「翡翠とだよ!」
「まだ何もしていないが」
「寝所に入れてるのに?」
「お前だって理玖や竹千代を入れているんだろう」
「旦那とは何もねえよ!」
「ほう」
 つい意地悪な声が出た。
「竹千代とは何かあったのか」
「!! 何も無い!」
 叫ぶと、もろはは仕事をほっぽり出して逃げる。やれやれと作業を進めつつ、私は新しい玩具を貰った子供の様に、内心はしゃいでいた。さて、とわに話すべきか話さないでおくべきか。

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