宇宙混沌
Eyecatch

第8章:五百年越しのありがとう [1/5]

 まずいものを見せちまった。
 俺達は理玖の匂いを追ってひたすら歩いていた。四半刻ほど経った頃、前方から尋ね人そのものの気配が近付いてくる。
「なんだ、帰ってきたじゃ――」
「隠れて!」
 とわは突然俺を突き飛ばす。脇道に入って様子を窺った。
「――なら何処でも良いので、写真屋やカメラ屋に持ち込んでください」
「時間がかかるのでは?」
「当日中には貰えますよ。銀塩プリントっていうのを指定して――」
 理玖は若い女を引き連れていた。
「誰だあの女?」
「シッ!」
 とわが鬼の形相で俺を睨む。怖えよ……。
「私が知りたいよ。どっかで見た気がするんだけど……」
 理玖が通り過ぎてから、その二つの背を見遣る。女の方が積極的に話しかけ、理玖はそれに戸惑っているが、興味自体はある。そういう風に見えた。
「誰だと思う!?」
「俺が知るかよ」
「希林先生時代の恋人かなあ?」
「んなもん理玖に関係ねえだろ。希林って奴と理玖は同じ顔なのか?」
「違うけどさ~」
 今度は涙目でうじうじと嘆く。ああもう、こいつ本当にあの殺生丸の娘か?
「とにかく、つけるぞ」

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