「なんじゃ。今日は殺生丸だけか」
「あ、あの、邪見も居ります」
殺生丸様に連れて来られたのは御母堂様の所じゃった。殺生丸様は降り立つと、御母堂様に背を向ける。
「時の風車」
「もう無いぞ」
「その動力」
「阿久留のことか?」
「動力さえあれば、依代は何でも良いのだな?」
「どうした殺生丸。よもや時空を超えたいなどと言い出すのではあるまいな」
「とわと理玖、犬夜叉が既に超えた」
「ほう」
殺生丸様は振り返る。さも面白そうに笑う御母堂様に問われた。
「阿久留は冥道を通っておらぬな?」
「通る筈なかろ。精霊に生きるも死ぬもありはせぬ。十分な生気霊気、或いは妖気等でも集まれば、再び無から生まれ出づる」
それを聞くと殺生丸様が飛び上がった。
「お、お待ちくだされ~!」
あっぶなー。間一髪、御母堂様の所に取り残されるかと思ったー。
しかし、井戸の中に阿久留か。これは、日々の見回りが仇となったようじゃの。