「犬のにーちゃん!!??」
「もしかして、草太か!?」
晩御飯の時間には草太パパ達もこっちに来た。芽衣の塾に間に合うように、かなり早めだ。
「み、耳!?」
パパ達が感動の再会をしている横で、芽衣と萌ママは固まっている。初対面だもんね。
「ああ、こちらが僕が度々話してた犬夜叉さんだよ。かごめ姉さんの旦那さん。にーちゃん、こっちは僕の妻の萌と、娘の芽衣」
「よろしくな。にしても、あの草太が所帯持ちか……」
「その言葉そっくりそのまま返したいけどね」
話題はそのまま、かごめさんがこっちとあっちを行ったり来たりしていた頃の思い出話へ。
「もし井戸がずっと繋がるようになったら、良いと思う?」
振り返り、黙々と林檎を食べていた理玖に問う。理玖は机の周りからはみ出してしまって、部屋の戸に背中を預けていた。
「そうですね」
「……そうなんだ。なんか意外」
「へえ?」
「あるべき場所に居るべき、って、言うのかと思った」
理玖も、私も、あるべき所に行かせてもらえなくて苦しんだ女の子のことを知っている。りおんのあの姿を見たなら、「戦国に戻り次第、井戸を破壊すべき」とか言うかと思ってた。かごめさんが叔父さんと出会えなくなっちゃうから、実際に壊しちゃ駄目だけど。
「とわ、写真見せて」
考え事をしていると、パパに頼まれる。
「その前に机片付けてよ」
再び前を向くと、向かいに座った叔父さんが、意味深な目で私を――その後ろの理玖を見ていた。