宇宙混沌
Eyecatch

その愛は海の様に


「せつな! そっちに一匹行った!」
「てめえらグズグズしてると置いてくぞ!」
もろはと竹千代見てると癒されるなー」
 ずっと気になることがある。なんで理玖は私にだけ様付けで敬語なんだろう。ていうか、時々本当に言葉遣いが乱暴でびっくりする。敵にだけじゃないんだ、この口調。
「呼び捨てで、敬語もやめろ、ですか」
 私もそう呼ばれてみたい! ある日思い切って伝えてみると、理玖は首を傾げた。
「別に構いやせんが」
「じゃあ今からね!」
 はあ、どんな風に言うんだろう、楽しみ。慣れない呼び方はちょっとドギマギしたりするかな?
 ウキウキしながら外の作業へ。暫くすると理玖が甲板に向かって呼びかけてきた。
「とわー! もろはー! 風が強くなってきたから戻れ!」
「エッ!?」
 思わず、といった風に声を出したのはもろはだ。
「理玖の野郎、とわに向かってあんな……」
「ああ、私が頼んだんだ」
 指示通りに船室に戻る。理玖は私達を中に入れると、扉を閉めた。
「寒くなかったかい?」
 私が聞かれているのだと解らず、もろはに突かれて慌てて答える。
「大丈夫」
「湯が欲しけりゃ沸かすぜ?」
「だ、大丈夫……」
 こ、これ、本当に理玖か??? いや、言ってる内容や表情はいつもの理玖だし、他の人にはいつもこの口調なわけだけど……。
「アタシは欲しい~」
「わかった。おいで」
 もろはと理玖は器を取りに行ってしまう。取り残された私は、顔を両手で覆った。
 思ってたような反応は見られなかったけど、こっちの理玖の方が好みだ。そういえば漫画とか読んでてもオレオレ系とか、ちょっと乱暴だったり強引だったりする男キャラを好きになりがちだった。
「おいとわ
「わっ! びっくりした、せつなか……」
「何故理玖が急にとわにもあの口調なんだ?」
「私が頼んだんだよ」
 先程と同じ答えを返す。せつなは意味深な視線を私に寄越してから、黙って何処かへ行ってしまった。

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