XXXしないと出られない部屋 [2/3]
さて、どうする。
依頼人の話は嘘だ。ヤッたら無事に帰すだと? だったら今頃、傭兵や騎空士界隈で、そういうヤバい依頼人が居るとの噂が回っていてもおかしくはない。
恐らく、全員殺されているか幽閉されているか。或いは屈辱に耐えきれず発狂したか。怪我をさせられたり薬を飲まされたりして動けなくなっているか。
『貴方と同じ、傭兵の娘と連絡が取れなくなって三ヶ月も経つんです。仕事のついでに、――山へ観光に行ってくると言って出て行ったきり……』
生き物の気配は此処まで調べてきた場所には無かった。遺体がもう白骨化していたとしても、肉が腐り朽ちていくまでに虫や獣が全く寄って来ないという事は考えにくい。だとすると……。
カチャリ、と銃が構え直される。此処から先はしながら考えるか。
「え、おい」
「嫌がる演技して。上からは見えないようにするから」
スツルム殿をベッドに引き倒し、耳元で囁く。彼女が体を強張らせた隙に、服の隙間から指を挿し入れた。
「ちょっ、待っ、本当にするのか!?」
「僕一発当てられてるんだよ。流石に命が惜しいね」
片手で服の上から丸い胸を掴み、もう片方で自分の下半身を出す振りをする。
どうせマントで上からは見えないから本当にする必要は無いものの、スツルム殿は演技が下手だから多少は感じさせなければ。
腰を揺らしながら、動きに合わせて指を出し入れする。スツルム殿は恥辱に真っ赤になりながらも、下の口はもうぐちゃぐちゃだ。この可愛い顔を他人には見せたくないので、下半身の位置がずれないように少し姿勢を変え、彼女の顔を自分の影に隠す。
敵に背を向けているし、スツルム殿の視界も遮っているので様子が判らないのが厄介だな。だが、銃を床に置いたと思われる音がして一安心する。さて、此処からどうするか。
「やっ、やだ、ドランク! 嫌ぁ……」
演技じゃなくて本当に嫌がってるのが伝わってくる。袖の上から腕を掴まれて爪を立てられた。
やっぱり黙って依頼を引き受けたのが良くなかったかもしれない。敵を騙すには味方からと、彼女に本当の依頼内容を伝えていなかったのが徒になったな。
いや、床が落ちて閉じ込められるとは流石に想定外だったんだ。そんな倒壊寸前の建物に依頼人が先回りしている事も。
「ごめん、本当……。後で煮るなり刺すなりして……」
謝りながらも、泣きながら喘ぐ表情は正直唆る……っといけない、本当の依頼人との約束をどうやって進めるか考えないと。
頭上から溜息が聞こえた。こりゃ、あっちも気持ち良くなってるかな?
スツルム殿も高まってきているのか、もう具体的な言葉は口から出て来ず、荒い息を繰り返している。僕は指を引き抜くと、ポーチの宝珠に触れた。
「うわっ!?」
依頼人のズボンの裾に小さく火を付ける。驚いた彼は火を消そうとして部屋の中を走り、その隙に僕達は、さっき見つけていた内部が腐り落ちている壁へ向かう。
「大丈夫? 走れる?」
達する直前でお預けを食らったスツルム殿は頷いたものの、僕の手を借りてやっと歩けているという感じだ。僕は彼女を抱えると、壁を蹴り破って隣の部屋へ。
「うわああああああ!」
直後に一際大きな叫び声と、続いてドン! という大きな音。火が上手く消せず、慌てた依頼人が狂乱して窓から身を投げたか。まずい、まだ被害者の幽閉場所を聞き出していないのに。
歯噛みしてももう遅い。確かめるまでもなく、この高さなら間違いなく死んでいる。
「あっで!」
急に肩に痛みが走って驚いた。見ると、スツルム殿が先程の銃創を押さえている。
「お前、またあたしに内緒で厄介な仕事を請けてるだろ」
「ごめん、まさか本当にする事になるとは思わなくいでででででで」
必要以上に押さえられたが、これで許してもらえるのなら安いくらいだ。見た本人は死んだとはいえ、スツルム殿の尊厳を傷付けた事には変わりない。
「馬鹿……」
スツルム殿は止血を終えると、一瞬だけそっと寄り添う。
「とにかく、本当の依頼内容を説明しろ」
「うん。でも、まずは此処から出なくちゃ。今の音は多分町まで響いてるから、警察が来て疑われるのは僕達だからね」
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