宇宙混沌
Eyecatch

スツルムの上客 feat. Sturm [3/6]

 勝手に付き纏ってくる五月蝿い奴が暫く姿を見せないと、認めたくはないが少し寂しいと感じるようになってしまった。
 妹の怪我も大分良くなったと手紙が来た頃。あたしはまた金に困っていた。次の仕事の予定が無い。傭兵ギルドの本部まで戻ろうかと思ったが、今滞在している島からでは渡航費が足りなかった。帳簿を付けるのは苦手だが、そろそろちゃんと覚えないとまずい。
 ドランクと一緒に行動している時は、そういうのは全部ドランクがやってくれるんだが。
「……史跡巡りが好き、とか言ってたな……」
 最後に別れた時、確か暫く休暇を楽しむ、とも言っていた。廃墟が多い島だったからな。
 自分は既にその島を離れている。だが此処からは近いし、此処に居ても仕事が無い。一か八か、行ってみるか。
 安い乗り合い騎空艇で空を渡る。目的地に到着して聞き込みをすると、案外すぐに泊まっている宿が判った。宿の主人に伝言を残し、自分はもっと安い宿を探す。
 明日、ドランクは来てくれるだろうか。

「どうしたの? スツルム殿の方から僕に連絡くれるなんて。少し痩せた?」
 待ち合わせには史跡に近い森の中を選んだ。にやにやと緩んだ表情が気色悪い。正直そう思ったが、ぐっと堪えて目的を伝える。
「またあたしを買ってほしい」
 みるみるうちに、ドランクの表情の輝きが増す。
「僕との約束守ってくれてるんだね! 嬉しいなぁ。良いよ! 幾ら?」
「幾らって……」
「言い値で買ってあげるよ。まぁ僕の所持金の範囲内で」
 随分財布の紐が緩いな。長く仕事をしていなかったんだから、湯水のように使える程は無いだろうに。
「相場通りで良い」
「そう?」
 ドランクは前回と同じだけ、財布から出して差し出してくる。これ、確か処女の相場って言ってなかったか? 二回目なのにこんなに受け取れない。
「……いや、だから相場で……」
 断るがドランクも引き下がらない。
「他の人に営業しないでって言ってるのは僕なんだから、約束は守るよ」
「それの半分で、良い。その代わり、金に困ったら回数を増やすから」
 今日は傭兵ギルドの拠点まで帰れる分があれば良いのだ。
 ドランクは眉を顰める。しまった、言い方が悪かったか。
「スツルム殿」
 ドランクはあたしの手を取ると、無理矢理札束を握らせる。
「自分を安売りしない方が良い」
「ドランク……」
 この厚意を素直に受け取って良いのか。いやそもそも厚意なのか? 判断付かずに言葉を失ったあたしの肩を掴み、ドランクは道を外れる。
「な、何を……」
 太い木に押し付けられ、更に左脚を掴まれる。
「今日は今すぐしたいな。脚、僕の腕にかけられる?」
「此処でするのか!?」
 森の中とは言え真昼間だ。道からも完全に見えない訳ではない。
「大丈夫、脱がなくて良いから。トイレする為に開くようになってるでしょ? 此処」
 ドランクは有無を言わせず、あたしの服のすき間を広げて中に指を滑らせる。下着の中にまで触られて、思わず声が漏れた。
「でも、魔物が……」
「此処に来る途中でやっつけといたよ。スツルム殿も道中遭遇した分は倒したよね?」
 中を撫でる指の本数が増える。昼間から野外でこんな事をしている羞恥心から、無意識に体が強張った。せめて通行人が来ても気付かれない様にしないと。
 そう思って口を手で押さえたのに、直後にまた知らない感覚が背筋を走った。見ると、ドランクがあたしの秘部を舐めている。
「やだ、そこ、汚い!」
「汚くないよぉ。それに禁止プレイの条件は聞いてないよ? もちろん危ない事はしないけどさ」
 そう言われると抵抗できない。すぐに持ち上げていた脚を下ろしてくれてほっとしたのも束の間、ドランクがあたしの耳元で囁く。
「僕ちゃんとお金払ったじゃない?」
 ……そう、だった。これは恋人同士の愛ある交わりじゃない。あたしは体を売って、ドランクはそれを自由に使う。そういう契約の仕事だ。きっとドランクだって、店に行って余計な金を落とすよりは、あたしで済ませる方が結局は安くつくのだろう。
「……好きにしろ」
 ニタリと笑うドランクが怖かった。でも、もう引き返せない。
「中出しは嫌なんだっけ? 僕その辺の拘りは無いから嫌なら外に……」
「そういう訳じゃない」
 挿れようとして直前で止めたドランクに、つい苛ついた声で答えてしまう。早く終わらせてほしい。でも、そう請える資格も無い。
「そっか。じゃあこれからも中に出すね」
 あたし、馬鹿だな。幾らでも密会できて、幾ら中に出しても妊娠しない異種族の女なんて、ドランクにとっては凄く好都合じゃないか。
 立ったままするのは身長差的に無理がある。それでもドランクは殆どあたしを抱き抱える様にして、何度も何度もあたしを貫いた。
「うん。凄く気持ち良い」
 最後にそう言って、あたしを抱く腕の力が一段と強まる。あたしももう脚に力が入らない。果てた後、ドランクはあたしの髪の毛に口付けを落としたようだったが、あたしは彼の背中にさえも、決して腕を回さなかった。

「この先に、史跡の調査で使わせてもらってる小屋があるんだ。そこでもう少し休んでから町に戻ろう」
 あたしの上がった息が収まるのを待って、ドランクはそう切り出した。あたしも、まだ人前に出て行けるような顔には戻れていない気がする。歩き出したドランクの後ろを、一定の距離を開けてついて行った。
「汗かいたら寒くなってきたねー。小屋の中で火は使わないでって言われてるから、これで我慢して?」
 ドランクはいつものドランクに戻っていた。小屋に置いていたストールを、適当な場所に座り込んだあたしの肩にかけてくれる。
「お前が寒いんだろ」
「じゃあ半分入れて」
 ふざけるな。いつもならそう言って剣で突く所だが、今は変わらず優しくしてくれる事に妙に安心して、言う通りにストールの片方の端をドランクに差し出した。
 てっきり飛び跳ねて喜ぶかと思ったけど、ドランクは黙ってそれを受け取り、あたしの隣に座る。
「なんでお金なくなっちゃったの?」
 当然の疑問だな。
「仕事が無い」
「仕事が無い!? スツルム殿の腕がありながら?」
「雇い主の顔を覚えるのが苦手なんだ……」
「なるほどねぇ」
 ドランクは神妙な面持ちで呟いた後、何かを思いついてあたしの方を見る。
「じゃあ、普段は僕と一緒に居なよ。僕の取引相手に紹介してたら、そのうち向こうが覚えてくれるって」
「お前と……?」
 確かに役には立つが。
「えぇー、なんでそこで嫌そうな顔するの……」
「言い方が気に障った」
「理不尽!」
 剣で突こうとしたが、間一髪で避けられた。溜め息を吐いて、剣を収める。
「スツルム殿」
 ドランクが再び隣に座る。
「やっぱりおっぱいも揉みたいなぁ〜」
 元気な奴だな。あたしは胸を触らせる場合の相場を思い出す。あのくらいならサービスしてやっても良いか、と思ったが、安売りは良くないのだったな。
 金をくれ、という意味で手を出す。ドランクは少し考えて、さっきと同じだけ握らせてきた。
「おい、揉むだけじゃないのか」
「揉んでたら大っきくなっちゃうからね! 今度はお口でしてくれると良いな〜」
 言って唇を指で押してくる。く、口か……。その仕事を受けるかどうか考えている間に、ドランクは無理矢理金をあたしの服に突っ込んで、口付けてきた。
「……っ、ドランク! 待って!」
「僕には待つ理由が無いなあ」
 まただ。いつものドランクじゃない。
 ドランクはあたしの服をはだけさせ、胸を揉む。あたしの視線に気付き、顔を上げた。あたしはその金の瞳に捕らわれる。
 ドランクは再び口付けた。すぐに唇を離し、少しずつ口付ける場所を下へ。鎖骨の辺りを強く吸われた。それで痣が出来ている事に気付いたのは、その日の夜、宿で服を脱いだ時だった。
 ドランクが胸を揉んでいた手を離す。ズボンを緩め、あたしの目の前に膨らんだ劣情を突き付けた。明るい中で見るそれは、どんな凶器よりもグロテスクで、口に入れるのは躊躇われた。
 暫く動けないでいると、痺れを切らしたドランクがあたしの頭を掴んで、強引に口の中に入れる。
「ん……お口の方も気持ち良いよ」
 苦しい。変な味。それでも仕事だ、と言い聞かせて吸ってやると、割とあっけなく果てる。飲んで、と言われたので飲み込もうとしたが、喉にへばりつく様で最悪の味だった。
 それでも、あたしはそれに味を占めてしまった。今日ドランクが支払ってくれた分だけで、あたしだけなら一月は暮らしていける。それを考えると少々手荒に扱われる事なんて、大した事じゃない。
 そうしてあたしは、この喧しい男と行動を共にする事にした。一番金払いの良い取引相手だ、縁を切る訳にはいかない。

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