一日目 朝
「何号室?」
「三〇六号室」
「うーん……あった、ここだね」
ガチャ、キィ……バタン。
「二段ベッドかぁ」
「一番安い部屋だからな」
「上り下り考えたら、僕が上の方が良いよね」
「ああ、頼む」
バサッ。ドサッ。
「ちょっと暑いね。窓開ける? って、開かないやつか……」
ゴソゴソ。
「じゃあ飲み物買って来ようかな。スツルム殿は何が良い?」
「あたしはいい。マントが汚れる」
「そう。って、それスツルム殿のマントだよね?」
「まずは試作する」
「え、試作? 繕ってくれるだけで良いよ?」
「背中のど真ん中は目立つだろ。刺繍で誤魔化す」
「スツルム殿……。ありがとね」
コツ、コツ、ガチャ、バタン。
一日目 昼
「暇だし本でも読もっかなー」
「…………」
「確か読みかけの戯曲があった筈……」
「…………」
「スツルム殿……艇酔いした……」
「お前結構繊細だよな」
「エルーンはね! 耳が敏感だから酔いやすいの!」
「気分が悪いんだったら寝ろ。本は読むな」
「えー、一週間の行程なのに? 僕何して時間潰せば良いの?」
「知るか。自分で考えろ」
「スツルム殿冷たーい」
「……マント、繕ってやらんぞ」
「それはやだ。大人しく寝まーす。夕食の時間に起こしてね」
「ああ」
ふぅ……。
一日目 夜
「ドランク、起きろ」
「ん……もうご飯?」
「気分はどうだ?」
「だいぶマシ」
「結構美味しいね」
「ん……」
「…………スツルム殿、僕の分のお肉も食べて」
「良いのか?」
「ちょっと食欲出ないや。僕はサラダとスープだけで良いかな」
「…………」
「ん、何? 僕の顔に何か付いてる?」
「いや、別に……」