あたしの相棒は信用ならない男だ。
「んもー。僕が好きなのはスツルム殿だけだって、いつも言ってるでしょ?」
そう言った十分後には、街中で着飾った美人を見かけてはそれを目で追う。そんな男だ。嘘つきの瞳は紫色だと言うが、その補色でも油断は出来ない。
良い加減にしろ、と言いたい。昨夜の営みだって、ドランクは達することなく途中でやめて寝入ってしまった。
仮に好きだという言葉が偽りではないとしたら、こいつはあたしの何処が好きなのだろう。豆だらけの手を握り締める。
都合が良いから、或いは断れなかったから、ただずるずると「恋人」という名目に収まっているだけなのではないか。しかも、こいつはあたしとの関係を公表するつもりも無いらしい。
「痛って!」
尻を剣先で突く。何故かにこにことして振り返る顔を、思いっきり睨めつけた。
お前にとってその程度のあたしなら、あたしだって。