宇宙混沌
Eyecatch

第1章:男の子になっちゃったジータちゃん


「それでねーヤイアはー……あっ、ジータちゃんおかえりー」
「ただいま」
 宿のロビーでは、ジャスティンがヤイアの髪の毛をタオルで拭っていた。ルナールの部屋よりロビーの方が涼しいと気付いたのか、アオイドスはその隣で溶けている。
「また貴方達ですか」
 ジャスティンはスツルムとドランクを見て言ったが、以前ほど言葉に棘は無い。
「たまたま会ってね。宿まで一緒だったみたい。僕達これから洞窟探検に行くんだけど、アオイドス君達もどう?」
「此処より暑くないなら考えよう」
 出演予定がある時はしゃきっとしてるのに、気が抜けている時の彼は完全に別人だ。ベンジャミンの顔でもないし、一体どれだけ感情の幅があるのだろう。
「洞窟だから奥は涼しいんじゃない?」
「場所も森の中だから、風が気持ち良かったよ。休み中ずっと建物に引き籠ってるのも気が滅入らない?」
 それなら、とアオイドスが承諾する。ジャスティンも行きたそうな顔をしたが、ヤイアの子守があるからか、何も言わなかった。
「ジャスティンも行って来いよ」
 そこに声をかけたのは、海から返ってきたローアインだ。
「ヤイアは俺達と一緒にフルーツゼリー作ろうな。厨房借りてっから」
「ゼリー? つくる!」
「ローアインはもう泳がなくて良いの?」
 ジャスティンに代わってヤイアを抱え上げたローアインが微笑む。
「碌に戦えねえ俺達を騎空団に置いてもらってるんだしぃ? このくらいの事はしねえとな」
 その言葉に甘えて、ジャスティンも濡れた服を着替えに一度部屋に戻る。全員が着替えて戻って来た所で、ジータが元気良く声を張り上げた。
「さあ、行くわよ!」

「結構深いねー」
 その洞窟は、入り口からは想像出来ないほど奥深かった。分かれ道は無かったが、途中で少し折れ曲がっていたので、もう既に陽の光は届かない。ドランクは光の魔法を使えないので、ジータが杖の先に魔力で光の玉を作り出していた。
「だがわくわくするな。一曲書けそうだ」
 案の定気温も低く、アオイドスもすっかり元気だ。逆にドランクは薄着をし過ぎたようで、背中の開いた服を押さえて少しでも体温を奪われない様にしている。
「何処まで行くつもりです? あまり深いようなら引き返しませんか?」
「そうだね。お昼には戻りたいし、もうちょっと行ってもまだ続いてるならやめようか」
 ジャスティンの提言にジータも同意する。
「あれ? 光が見えるね。別の場所に出てきたのかな」
「本当だ」
 先頭を歩いていたドランクが言った通り、強い光が見えてきた。ジータは光を出すのをやめる。しかし、明るくなるのにその先の景色が見えない。
「……違う、出口じゃない!」
 スツルムがそう叫んだ声は、途中で野太い声に変わった。

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