「どうしてそこでドランクが出てくるんだ?」
大真面目に尋ねたのは、隣に座ったカタリナだった。
「え、どうしてって……」
理由を尋ねられた理由が解らなくて返答に詰まってしまう。
「ドランクは……私の妹の孫だし……」
それを聞いたカタリナの目がどんどん見開かれていく。
「えええっ!? そうだったのか!?!?」
「ええっ、まさか気付いてなかったのか?」
「他の皆にも訊いてみると良い。多分誰も気付いていないぞ」
私は残虐三兄弟を見る。アオイドスは前に、私達の事を兄妹かって訊いてなかったか?
「親類だとは気付いていたぞ」
「色が全体的に一緒すぎますしね」
「気付いていなかったのはカタリナだけじゃないか?」
「ええっ」
よ、良かった。皆確信は無かったようだけど、とりあえずカタリナが鈍感だっただけらしい。
「しかし、連絡を取るにしても今どこに居るのやら……」
「それは……。それも含めて、ジータが買い物から帰って来たら相談だな」
「アマルティアに行って、モニカに訊いたら解るんじゃないかな」
帰ってきたジータにまた同じ事を説明すると、ドランクの居場所についてはそのような返答が得られた。
「モニカ?」
「秩序の騎空団の知り合い」
「ドランクと秩序の騎空団に何の関係が?」
その問いには言葉を濁される。
「とにかく、私達も一緒に行くよ。イスタルシアは逃げないしね」
そして引き返して向かった先で、わざわざモニカとやらに訊くまでもなく、例の二人に道端でばったり会えたのは運が良かった。
「……なるほどね」
もう何度繰り返したかわからない状況説明をすると、ドランクは神妙な面持ちになった。
「背に腹は代えられないねえ。モニカさんに断り入れてくるよ。長くなりそうだし」
「良いのか?」
スツルムの問いには短く「良い」、と答え、ドランクは踵を返す。
「モニカさん、情はあるタイプの人だから、こうして僕の事泳がしてくれてるんだし。先にグランサイファーに行ってて」
「『泳がしてくれてる』……?」
「あまり気にするな」
スツルムにそう言われたので、私は黙ってグランサイファーの泊まっている港を指差した。