宇宙混沌
Eyecatch

第4章:思わぬ邪魔が入ったジータちゃん [4/5]

「やあやあ、可愛いお嬢さん達。僕達、あの山に登りたいんだけど……って痛い!」
「普通に尋ねられないのかお前は」
 僕はお尻にクリティカルヒットした所を擦る。僕が声をかけたエルーンの二人組は、顔を見合わせてからこう答えた。
「登山なら、別の山にした方が良いと思うけど」
 昼食時、僕達はそれぞれに得た情報を共有し合った。有力な手掛かり……と言える程ではないが、当たってみる価値のありそうな情報は、ルリアちゃんが感じた気配のみ。
「何か悪い噂でもあんのか?」
 ラカムの問いに、女性達は首を振る。
「まあでも、険しい山じゃないし、行ってみて大丈夫なら入って良いんじゃない?」
「この道を真っ直ぐ行けば麓に着くわよ」
「そうか。ああでも、陸路だと距離があるよな」
「お兄さん達、騎空士?」
「騎空艇なら、多分山の裏側に泊められるんじゃない?」
 彼女達の言い方に首を傾げつつも、僕達はグランサイファーを島の裏側に飛ばした。
 そして、何故あのような答え方をされたのか、身をもって知る事になる。一部の団員達が。

「べーっくしょい!」
 一際大きなくしゃみをしたのはオイゲンさんだ。カタリナさんは熱を出して、魘されている。他にもくしゃみをしたり、肌を掻いている団員は少なくない。
「何かアレルギーを引き起こす植物が生えているみたいだね」
 もしかしたらそれがあのお札と関係あるのかも、と思ったが、スツルム殿やラカムは平気らしい。一方で、ユーステスとジャスティンはくしゃみをしていた。
「どうしようね」
 団長さんに尋ねると、うーんと考え込む。
「今日は、症状が出てない人達だけで、軽く様子を見るだけにしようかな。もう二時間もすれば日も傾くし、どんな植物が生えてるか採取するだけでも」
「それが良いだろうな」
 ラカムが同意する。
「だからルリアも、カタリナの側に居てあげて」
 星晶獣絡みという事で、ルリアちゃんは団長さんについて行くか、カタリナさんの看病をするかで選択を迫られていた。
「すぐ帰って来るから」
「……はい!」
 ルリアちゃんは表情を明るくし、カタリナさんの部屋へ向かう。
 一方で、団長さんが何かを思い出したかのように表情を固めたのを、僕は見てしまった。

「ユーステスも留守番してれば良いのに」
 ベアトリクスが言った。山に登るのは、アレルギー症状が出なかった僕とスツルム殿、ラカム、団長さん、それからベアトリクス。アオイドスやジャミル君等、何人か平気そうな団員も居たが、そんなに人手も要らないし、看病人員として残してきた。
「この人数では、星晶獣に出くわしたら心許無いだろう」
 ユーステスは比較的症状が軽かったので、薬で症状を抑え、マスクをして僕達について来た。
「大丈夫だよー。ルリアは本当に微かな気配しかしないって言ってたし」
「そうだぞ。第一、私が居るんだから大丈夫に決まってる!」
「寧ろ心配だ」
「なんだとー!」
 夫婦喧嘩はさておき。僕達は道なき道を進む。それから、周囲に生えている草や木の葉を少しずつ摘んで集めていく。
「おかしい」
 小一時間程進んだ時、先頭を歩いていたスツルム殿が立ち止まった。
「おかしいって?」
「誰か方角が判る道具を持っていないか?」
 皆で顔を見合わせる。
「ジータ、持ってねえのか?」
「ラカムが持って来てると思ってた。ベア達は持ってない?」
 二人が首を横に振る。そして期待する視線を僕に向ける。ダブルチェックでもう一方がチェックしてるだろうからヨシ! じゃないんだよ……。
「まったく……」
 流石に呆れた声が出た。僕は宝珠を取り出し、魔法で方角を探そうとする。が、上手くいかない。
「いやーまいったねえ」
 いつの間にか、正常ではない空間に迷い込んでしまったらしい。魔法か、それとも星晶獣か……。
「入った人が下山できないなんて噂、聞かなかったけどなあ」
「ああ。とにかく、降りるぞ」
 ラカムの冷静な判断により、来た道を戻り、高度を下げようとする。しかし……。
「くそっ、日が落ちた!」
 下りても下りても、麓が近付かない。一時間かけて登った道を二時間かけて下りたのに、景色は全く変わらなかった。
「しょうがないね、火を起こそう」
 昼はあまり見かけなかったが、夜は魔物が出るかもしれない。それに、グランサイファーから火を見て迎えが来るかも。尤も、全員トラップに入り込む二次災害だけは避けてほしいけど。
 散り散りになると、別の空間に迷い込んで逸れるかもしれない。僕達はあまり歩き回らず、その場に落ちていた木の枝だけを集めて火を起こした。

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