第4話:思わぬ邪魔が入ったジータちゃん [3/5]
「すみません、ちょっと訊きたい事があるんですけど」
私は、ルリアとビィと、それからスツルムとフェリとの五人組(人?)で聞き込みをする事になった。ドランクはとユーステスとベアトリクスの三人で行動するみたい。アオイドスは例の札が無くならない様に、艇で見張り役という名のお留守番。
「製紙をしている人や店? この島だと製紙会社が一つある以外は知らないなあ……」
何人に聞いてもそういう答えだった。諦めてその会社へ赴くと、同じ様に此処に辿り着いたイオ達とばったり会った。
「この会社で作っている紙のサンプルを全て見させてもらったが、あの札と同じように繊維の粗いものは一つもなかったな」
イオ達は大分早くに到着していて、会社から出て来た所だった。カタリナが肩を落としながら説明する。
「外れかー」
「あたし達はグランサイファーに戻るわね」
ある程度調べて、行き詰ったら情報共有の為にも騎空艇に戻る、という約束にしてあった。
「わかった。でも、結局皆、この会社に来る気がするね……」
「そうだな。誰か残って、仲間が来たら状況を説明した方が良いだろうな」
「うん。そこはこの団長に任せなさい!」
「一人で大丈夫ですか?」
うんうん、ルリアならそう言ってくれると思ったよ。
「大丈夫だけど暇かもねー。皆が良ければ、私の班は残るって事にしてくれると助かる」
四人くらいなら、その辺のベンチに詰めれば座れるし。ビィは私の膝の上。
「そうか。何にせよ、昼食までには皆戻るだろうから、適当な時間で切り上げれば良いぞ」
「うん。じゃあまた後で」
カタリナ達の背中を見送る。
「よし! じゃあそこのベンチに座って待とう!」
「……なんでそんなに気合が入ってるんだ?」
フェリが眉根を寄せたけど、気にしない気にしない。
「四人はちょっと狭いですね」
「あたしは別に良い」
スツルムはそう言って、ベンチの後ろに回り込む。私はさりげなく彼女に話題を振った。
「最近はどうなの?」
「どうって?」
「仕事とか、ドランクと上手くやってるかとか」
単刀直入に訊いてみる。
「別に。いつも通りだ」
「そう」
まあ、この訊き方で何か喋ってくれるとは、思ってないけどね。
「そういえば、スツルムはドランクに斬り付けたよな。ドランクには影響が無いのに、何が違うんだ?」
此処でフェリの真面目が功を奏す。そうそう、そういう仕事関係の質問ならスツルムは答えてくれるもんね。
「ああ、あれな……」
スツルムは口籠る。私はスツルムを振り返って、その曇った表情に首を傾げた。
「あたしは、ドランクの気持ちを疑ってるわけじゃない。でも、あたしは小言ばかりだ……」
「え?」
「何でもない」
呟かれた事の脈絡がよく解らなくて、聞き返すといつものスツルムの口調に戻った。
「お前達もあの札には触るなよ。不安になりたくなかったらな」
「ジータ!」
突然、隣のルリアが声を上げる。
「な、何?」
「星晶獣の気配です! 風に乗って……」
ルリアは立ち上がると、遠くに見える山を指差す。
「多分、あの山の何処かに、星晶獣が居ます」
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