「あの男どう思う? ヴォルケ」
ドナはギルド本部の窓から、一緒に敷地を出て行こうとする二人を眺めていた。
「傭兵らしさはあまり無いですが、紳士的な人でしたね。スツルムを助けてくれて本当に良かった」
「ふぅん? 本当にそう思うかい?」
「えっ?」
ドナは振り返って意味深な笑顔をヴォルケに向ける。
「あの男は見た目よりずっと強いよ。スツルムより強いのは勿論だけど、もしかするとあたしより強いかもしれないね。ただ……」
「ただ?」
「最大の防御は攻撃だって言うだろう? あいつの強さはそういう強ささ」
首を傾げるヴォルケから視線を外し、ドナは二人が出て行った後の門を見つめる。
「スツルムがそれで傷付かないと良いけどねえ……」