宇宙混沌
Eyecatch

第2話:フェリちゃんの手紙 [2/6]

「すっごーい。掃除してくれたんだ!」
「なに、元々状態が良かったんでさ。寝具もグランサイファーから運んどいたから、適当な部屋に持ってってくれ」
「ありがとうオイゲンさん!」
 深夜。私達は遅ればせながら、私の家へ忍び込む。ドランクの筋書きでは、この屋敷の主の子孫が、いつの間にか騎空艇をチャーターしてやって来て此処に住んでいる、という設定だ。乗り合い騎空艇の三等室に乗ってくる貴族なんて居ないからな。乗ってきたけど。
「見て見てドランク~」
 布団を運びやすいように畳み直していると、ジータ達がやって来る。
「どうこの衣裳? 可愛いでしょ」
「うん、とっても。今はこんなデザインのメイド服もあるんだねえ」
 ひらり、とジータが揺らした裾はレースで縁どられている。まるで星空のように所々きらきらとした、紺色の生地だった。
「シェロカルテに手配してもらったの。最近は制服で職場を選ぶ人が多いから、雇い主もこぞって可愛いのを指定するんだって」
「そっかそっかー」
「お前の好みでメイド役を指定した甲斐があったな」
「ギクゥ!」
 スツルムはそう言って、自分の寝具を抱えて使用人用の部屋の方へ。打って変わってジータが胡散臭そうにドランクを見る。
「そ、そんな目で見ないでよ~。もちろん団長さん達の戦いの腕も見込んで頼んでるんだって~」
「え、戦う予定でもあるの?」
「無いけど、グランサイファーとの連絡役として、夜中に外を出歩いてもらうかもしれないしさ。それに、近くに居てもらうなら、僕も親しい人の方が気を遣わなくて良いし」
「あら、貴方も知らない人とは緊張するのね」
 笑ったのはロゼッタだ。露出の少ない衣裳を着て髪を結い、眼鏡をかけてすっかり教師になりきっている。
「そりゃあね。そういう所は、おばあちゃんに似なかったね」
 後半は独り言ちるように呟いたドランクの隣で、私はまた一つ、妹からの手紙を思い出した。

闇背負ってるイケメンに目が無い。