スツルムの手紙
「お手紙書けたの?」
待ちくたびれた、という風にドランクが声をかけた。
「ああ」
「お手紙と一緒にお金を送りたいのは解るけどさあ~。そんなに急くこと無いんじゃない?」
「……今日はしてくれないのか」
「そういう訳じゃないけど」
ドランクはあたしに、大金と言っても過言ではない額の札束を渡す。あたしはそれを受け取って手紙とは別の封筒に詰めると、ベッドに寝転がるドランクの上に跨った。
「もうちょっと、僕を犯罪人にしてるって自覚は持ってほしいよね」
「今更……。この程度の罪で狼狽える玉か?」
命さえも奪って来たその手で、今更あたしの何かを奪った所で。
そして、それはあたしの方も同じだ。
「違うけど」
ドランクの両手があたしの両手を掴んで引き寄せる。
「君とは……」
ドランクは最後まで言わずに、あたしの服に手をかけた。あたしは、金を貰った分の仕事はする。
間違ってしまったな。あたしだってそう思っている。でも、奪われた物はもう取り返せないのだ。あたしが出来る事は、失ったままでも前に進む事だけだった。
ドランクの薄い唇があたしの唇に重なる。最初と最後の口付けだけは、いつも優しい。
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Written by 星神智慧