宇宙混沌
Eyecatch

ゆかいなコルワちゃん/シーナの口紅


「これくださ~い」
「毎度あり~」
 銀髪の女が悪魔の絵の掛かれた小箱を買った。公園の隅のベンチに座り、破かないように丁寧に包みを開く。中に入っていた宝石を耳に近づけて、歌い出した。
「相変わらず音痴だな」
 俺はその背後から別の小包を差し出す。一つは彼女から借りた物。もう一つはその礼だ。
「プロに言われてもそりゃそうでしょって感じ~」
 女は振り返らずにそれらを受け取ると、歓声を上げた。
「わ! これ新色? 欲しかったんだ~」
 イメージ映像の収録された記憶媒体の方は、宝石と共に大事そうに膝の上に置き、もう片方の包みを開けて確かめる。
「他の誰も貢いでくれなかったのか?」
「その言い方嫌ーい。新色は品切れで誰も買えてなかっただけ! どうやって手に入れたの?」
「今度サブメンバーが広告モデルをする事になってな。メーカーから直接貰った」
「へぇ、ジャスティンが? って、サブメンバーじゃないか……」
「ジャスティンのおかげではあるな。フェリって解るか?」
「当然。何年追っかけやってると思うの。ま、あの子は美人だし、あちこちで売り出したいのはわかるわ~」
「お前女もイケるのか?」
「そんな話はしてなくない?」
 笑って誤魔化し、隣に座る。久々に会う分には心地良い。ただ、長く一緒に居るとお互いを傷付け始めてしまう。そうなる前に、また仕事に戻るだけだ。
「ところで、映像見せたんでしょ? 噂のおしどり夫婦に。なんて言ってた?」
「良い顔はしていなかったな。クオリティは褒めていたが」
「だろうね」
 シーナは口紅をくり出し、さっと塗る。
「アンタこそ、ドラムで腰弱してあたしに付き合えないってんなら承知しないよ」
 次の瞬間には肩に腕が絡んでいた。

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