宇宙混沌
Eyecatch

ゆかいなコルワちゃん/シーナの口紅


「シーナとやらにはちゃんと会ってるのか?」
 あたしがバレンティンに尋ねると、彼は、そしてその隣のアオイドスまで難しい表情をした。
「出来れば会いたくない」
「同感だ」
「?? バレンティンはシーナのことが好きじゃないのか?」
「嫌いではない」
「昔プロモーション用のイメージ映像に出てもらった恩もある」
「じゃあ何が駄目なんだ?」
「あいつは変態だ」
「バレンティンがそれを言うのか」
 しかしアオイドスも首肯している。相当なのか。
「性欲を司る星晶獣が居たらあんな感じだと俺は思う」
「聞いただけで凄そうだな……」
 バレンティンは腕を組んで唸る。
「だからこそ出演を安心して任せられた面はある」
「そうだな。髪もわざわざ金に染めたり、すっぴんを晒してくれたり……」
「エキストラもほとんどあいつの知り合いだ」
「……一体どんなのを撮ったんだ?」
 アオイドスは昔を思い出したのか、少し崩れた口調でバレンティンに問うた。
「当時の映像は残ってないナァ?」
「ああ。でも、ジャスティンが持っていないか?」
「なるほど、後で訊いてみよう。というより、それこそシーナが持っていそうだな……」
「見つかったら、見せてもらえるか?」
「そんなに興味があるのなら。目処が立ったら連絡しよう」
 どんなキワモノが出てくるのだろう。好奇心には打ち勝てなかったが、なんだか薄っすらと背徳感がある。
「一つ解っていてほしいのは」
 話が途切れ、ややあってバレンティンが口を開いた。
「シーナが今のシーナになるまでにも、俺達が今の俺達になるまでにも、理由がある」
「……ああ」
「お前達が共に居る方が良いと判断したように、俺達は共に居ない方が良いと判断した。それだけだ」
「解ってる」
 今のあたし達になるまでにも、色々なことがあった。その上で共に生きている。
 二人の付き合い方を決めるのは第三者じゃない。バレンティン達もそれで納得しているなら、野暮な質問をしてしまったな。

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