宇宙混沌
Eyecatch

ゆかいなコルワちゃん/シーナの口紅 [5/7]

「シーナとやらにはちゃんと会ってるのか?」
 あたしがバレンティンに尋ねると、彼は、そしてその隣のアオイドスまで難しい表情をした。
「出来れば会いたくない」
「同感だ」
「?? バレンティンはシーナのことが好きじゃないのか?」
「嫌いではない」
「昔プロモーション用のイメージ映像に出てもらった恩もある」
「じゃあ何が駄目なんだ?」
「あいつは変態だ」
「バレンティンがそれを言うのか」
 しかしアオイドスも首肯している。相当なのか。
「性欲を司る星晶獣が居たらあんな感じだと俺は思う」
「聞いただけで凄そうだな……」
 バレンティンは腕を組んで唸る。
「だからこそ出演を安心して任せられた面はある」
「そうだな。髪もわざわざ金に染めたり、すっぴんを晒してくれたり……」
「エキストラもほとんどあいつの知り合いだ」
「……一体どんなのを撮ったんだ?」
 アオイドスは昔を思い出したのか、少し崩れた口調でバレンティンに問うた。
「当時の映像は残ってないナァ?」
「ああ。でも、ジャスティンが持っていないか?」
「なるほど、後で訊いてみよう。というより、それこそシーナが持っていそうだな……」
「見つかったら、見せてもらえるか?」
「そんなに興味があるのなら。目処が立ったら連絡しよう」
 どんなキワモノが出てくるのだろう。好奇心には打ち勝てなかったが、なんだか薄っすらと背徳感がある。
「一つ解っていてほしいのは」
 話が途切れ、ややあってバレンティンが口を開いた。
「シーナが今のシーナになるまでにも、俺達が今の俺達になるまでにも、理由がある」
「……ああ」
「お前達が共に居る方が良いと判断したように、俺達は共に居ない方が良いと判断した。それだけだ」
「解ってる」
 今のあたし達になるまでにも、色々なことがあった。その上で共に生きている。
 二人の付き合い方を決めるのは第三者じゃない。バレンティン達もそれで納得しているなら、野暮な質問をしてしまったな。

Written by