宇宙混沌
Eyecatch

ゆかいなコルワちゃん/シーナの口紅


「そういや団長さんにリップあげたんだって?」
 ドランクさんと合流した日の夜。夕食の席が近くなり、そう尋ねられる。
「……あげましたけど」
「あれ? なんか不本意な顔」
「元々フェリの為に買った物でしたから」

「これ」
 僕がぶっきらぼうに小袋を渡すと、青白い肌の少女は嬉しそうに頬に朱を差した。しかしその表情は、中身を出して鏡を覗き込むと、まもなく曇る。
「気に入りませんか?」
「自分から欲しいと言っておいてなんだが……」
 言いたいことはすぐ解った。僕が選んだその色は、彼女の血色の悪い肌を余計に不健康そうに見せた。
「あっ、お化粧してるー」
 そこに団長が通りかかる。僕達は顔を見合わせて、どちらからともなく切り出した。
「この色、もし気に入るなら持ってって」

「なるほどね」
 フェリへのプレゼント選びが失敗したと知って、その親戚はニヤニヤと笑う。
 だが、笑っていられるのも今のうちだ。僕が勝ち誇ったような笑みを向けると、ドランクさんは怪訝な顔をする。
「やっぱりプロに見てもらうのが一番ですからね。今度一緒に直営店に買いに行くんです」
「……ふ~ん」
 ニヤニヤするのはこちらの番だ。ドランクさんがフェリのことを娘の様に思うのも仕方ないとは思うが、本当の娘ではない限り必要以上に口は出せまい。せいぜいヤキモキしていろ、と僕はまた一匙口に運んだ。

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