宇宙混沌
Eyecatch

ゆかいなコルワちゃん/シーナの口紅


「待って~」
 あたしはグランサイファーの中を逃げ回っていた。ドランクは、すっかりあの女の手下に成り下がっている残虐三兄弟に捕まった。女のあたしに触れるのを、ジャスティンが一瞬躊躇った隙をついて、あたしはコルワの部屋から飛び出してきた。
「なんで初対面の奴に……」
 ジータやナルメア達もあたし達の関係を茶化したり探ったりはしてきたが、そこには短くない付き合いというものがある。
「こっちよ」
 急に腕を引っ張られた。薬品のような臭いの立ち込める部屋に連れ込まれる。
「ええと、お前は……」
「ルナールよ。館詰めしてる事が多いから、ゆっくり話すのは初めてかしらね」
 キャンバスの裏に隠れて、と言われ、従う。間もなくしてノックがあった。
「なに?」
「ねえ、こっちにスツルムさん来なかった?」
「さあ……。さっき誰かが部屋の前を走って行ったのは聞いたけど……」
「そう。邪魔して悪かったわね、ありがとう」
 上手く巻けたようだ。キャンバスの表に回り込むと、ルナールは大きな悪魔の絵を描いていた。
「ありがとう」
「どういたしまして。あの人、ちょっと強引すぎるところあるわよね。真っ先に貴女達が餌食になるんじゃないかと思った」
「一体何なんだあれは……」
「所謂ハピエンカプ厨よ。想い合う二人は仲良くゴールインしてほしいわけ」
「あたし達は既に籍も入れているんだが……」
「食べられれば何でも美味しいのよ。馴れ初めでも思い出話でも」
 ルナールは空いている椅子を示す。あたしはそれを引いて座った。
「これは何の絵だ?」
「残虐三兄弟が、昔の曲を宝石魔法で録音して売り出すんですって。そのパッケージや広告に使うらしいわ」
「ああ、ホワイトデーのイベント」
「そうそう。イベントで先行発売なの。私やコルワ以外にも、手伝ってる人居るみたい」
「……アオイドスは、お前達にとって特別なのか?」
「そりゃあ一番の稼ぎ頭だから、ジータも待遇良くしてるのよ。私も団にお金を入れてる方だから、雑用は免除されてるわ」
「働かざる者食うべからずか」
「そういうこと。戦えない人はお金を稼いだり料理を作ったり、何かしら誰かの為に働いてるの。アオイドス達は戦うこともあるし、貢献度が大きいから多少のわがままは、ね」
「今さっきあたし達を振り回してたのはコルワだが……」
「そうだった。まあ、関係に水を差すような意地悪は彼女の信条に反するから、そう怖がらなくても大丈夫よ」

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