宇宙混沌
Eyecatch

もう一回


 気付けばまたスツルム殿を組み敷いていた。締め付けられる感触は緩んでいて、今抜いたら溢れそうだと思ったので、そのまま楽な体勢になる。
 何だったんだろう、今の感覚。何かとても――そう、とても幸せな心地だった。だって誰も僕の傷痕を好んで触ろうとしなかったもの。スツルム殿は何気無く触れただけなのかもしれないけど、僕にとっては、なんだか、僕の欠けている部分まで認めてもらえた様な気がして。
 スツルム殿の頬に手を当てて、此方を向かせる。この嬉しい気持ちと、愛しい気持ちと、ちゃんと伝えようと思ったけど、やっぱり上手く言えなくてキスで誤魔化した。
「……昨日僕どのくらい飲んだの?」
 興奮が醒めてくると、やっぱり昨夜の事が気になる。記憶が飛ぶまで飲むなんて何年振りだ?
「ボトルの四分の一」
「そんなに!? もっと早く止めてよ~」
「いや、あたしも一本全部は無理だし、飲み切らないとだろ……。だいたいお前が酒で給料を貰ってくるから」
「スツルム殿なら一人でペロリといけちゃうかなと思ったの~」
 いつもなら現品での支給は断るんだけど、スツルム殿が喜ぶかなって思ったのに。自分が消費できない物は貰うもんじゃないな。
 眠くなってきた。うとうとしていると、スツルム殿が胸に頬を擦り付けてくる。
「足りなかった? でも僕の方はもう限界なんだけど」
「莫迦」
 スツルム殿はそのまま瞼を閉じる。規則正しい寝息が聞こえるようになってから、僕も目を瞑った。
「愛してるよ」
 そう自分で言ったのも、起きていたのか夢の中だったのか、もう分からない。

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