途中の記憶が無い。気付けばドランクの腹の上で、自分で腰を振っていた。
我に返って動きを止めると、ドランクの手が腰を掴んで打ち付ける。乱暴するならもうしない、と言いたくなって睨めば、金色の瞳がただじっとあたしを見つめていた。
腰を再び揺らしながら、手のひらの下にあった、ドランクの腹の傷痕を撫ぜる。気付いたドランクがその手を重ねて包み込んだ。
「手ぇちっちゃ」
「仕方無いだろ」
「可愛いね」
達しそうになったのか、ドランクは身を起こしてあたしを抱き締める。昨夜はその時愛を囁いてくれた。
しかしドランクは耳元で荒い息を繰り返すばかりで、暫くすると再びあたしを組み敷くようにして果てた。
抜かないまま姿勢を添い寝するように変える。汗で湿った手のひらがあたしの頬を包んだ。それから何か言いかけて――何も言わずに口付けた。
別にそれで構わなかった。ドランクの眼差しが語ることを疑う理由は無い。
「……昨日僕どのくらい飲んだの?」
「ボトルの四分の一」
「そんなに!? もっと早く止めてよ~」
「いや、あたしも一本全部は無理だし、飲み切らないとだろ……。だいたいお前が酒で給料を貰ってくるから」
「スツルム殿なら一人でペロリといけちゃうかなと思ったの~」
隣で喚く姿はいつものドランクだ。あたしはほっとして、無意識に顔を相棒の胸に擦り付ける。
「足りなかった? でも僕の方はもう限界なんだけど」
言われて赤くなる。咄嗟に刺そうと思ったが、ドランクの腕が背中に回った状態では剣に手が届かない。
「莫迦」
とだけ言って、あたしは僅かばかりの夢の世界に落ちていった。